(株)スエヒロEPM
■すべては「何とかしましょう」から
業種:食用油、ペットフード、脱水脱汁等の機械の製造
(株)スエヒロEPM
困っている人を助けたい。時には、そんな気持ちが花を咲かせる。(株)スエヒロEPM(三重県四日市市:佐久間裕之会長、清水啓一社長)は、今年で57年目。創業者は佐久間会長の父だ。創業当初は機械修理を専門に行っていたが、知人から「食用油を搾る機械(エキスペラー)を作ってもらえないか」と頼まれた。エキスペラーは、戦前からドイツなどからの輸入に頼っていたが、仲間が故障や部品交換の時に困っていたのだ。
当時は社員が10人に満たなかったが、持ち前のプラス志向で「何とか作れる
のでは」と思いトライした。油の原料も輸入していて、少しの原料で多くの油を取れるように要求が続いた。時を同じくして、大企業も参入してくる。しかし、「うちはこれしかない」と心を一つにして作り上げた。
昭和60年代、佐久間社長(当時)に1本の電話がかかってくる。知多半島の会社からだ。「何とかペットフード、飼料などを製造する機械(エクストルーダー)を修理してもらえないか」と依頼があった。車を飛ばして、現場を見た。「何とかしましょう!」と思わず言ってしまった。事務系の社長には、何も根拠はなかった。何とか自分たちの技術で安心させたいという情熱がそう言わせてしまった。
自社に持って帰り、技術者たちと必死に向き合った。7時間後、このヨーロッパ製の機械は正常に動くようになっていた。まさか一日で治るとは思っていなかった先方の企業は大感激し、「この機械はあんたとこで、作れへんのか?」「作れます!」と力強く言った。今は、この2つの機械が(株)スエヒロEPMの主力商品だ。
社員には「なにごとも経験しろ」「情熱だけは負けるな」「人と人との出会いを大切にしろ」と何度も言っている。かつて、1案件で、売り上げの半分近くの規模を欠損したことがある。もうダメかと思っていた時、仲間が金融機関に嘆願書を出してくれて、生き延びた。人と人との付き合いの大切さをより実感した出来事だった。「俺は、困ったことがあっても、絶対に他人のせいにしない。自分がどれだけ努力できるか。これしかないんだよ」。会長の元気な言葉は、今日も会社中に響き渡っている。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。
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