株式会社サンレー
■「ゆりかごから墓場まで」あくなき挑戦
業種:冠婚葬祭に関する各種サービス提供
株式会社サンレー
「葬儀」は、30年ほど前までは一般に、自宅か公民館で執り行うのが当たり前だった。それが今では、まさしく「故人を主役としたイベント」の感があり、立派な葬祭会館で音楽と生花、花輪に囲まれ厳かに式を進行させる。これが都会でも田舎でもごく普通の葬儀風景となっている。この火付け役となった企業の一つが、日本で最初の葬祭会館「小倉紫雲閣」を九州に開設したサンレー(北九州市、佐久間庸和社長)である。
同社はそれまでの常識を覆して、葬儀をイベントの観点からとらえ直し、これを前面に押し出すという全く新しい試みを始めた。当時、これは反発されるどころか、またたく間に世の中に受け入れられ全国に広がっていった。しかも、こうした葬儀ビジネスをわが国に誕生させただけではなかった。一般の人々の悩みの種だった葬儀費用負担について、「互助会制度」を導入して負担を軽減させたのである。
新たな発想での葬儀スタイルはこの互助会制度と相まって、広く支持されていったと言っていいだろう。それまで不透明だった料金体系を明確化し、少額の資金の積み立てで葬儀を営みやすくしたことは、わが国の社会風土ともマッチして普及することになる。しかし時代は変わって現在は、少子高齢化社会を迎え冠婚業は冬の時代、葬祭業は顧客の奪い合いが演じられている。
佐久間社長はこんな今こそ、冠婚葬祭という人生の一大イベントにふさわしいソフトを提供することが求められているという。同社長はこのため「ブルーオーシャン戦略」と呼ぶ未開拓市場を切り開く作戦を推進する。具体的には「他社にはない低価格および高付加価値のサービスを提供すること」(同)だ。その結果、「結婚と葬儀だけが我々の仕事ではない。出産や七五三、長寿の祝いまで長期的にサービスを提供する」(同)という発想につながっていく。すなわち、ゆりかごから墓場まで、人の一生を通じたサービスである。
例えば地域の産婦人科医院と提携して、出産後の乳児撮影サービスを実施。これは子供の誕生という慶事を機に、サンレーブランドを浸透させる狙いがある。同社長が家業を引き継いだ当時は赤字だったというが、拠点の統廃合を実施、再生を果たした。また、厚生労働省認定の「一級葬祭ディレクター」数が、業界トップクラスを占めている。人材が豊富におり、地域発の瑞々しい発想によるビジネスを次々と生み出していく。感動、癒しなどを提供する同社のあくなき挑戦はとどまる所を知らない。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。
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