タイヨー電機株式会社
■強い「脱・下請け」心こそ独自開発促す
業種:欠陥検査装置の開発
タイヨー電機株式会社
現状に安住していては退歩しかない。「脱・下請け」を掲げたタイヨー電機株式会社(大阪市北区、濱田安幸社長)の独自製品開発の闘いは、現状打破こそ企業の持続的発展の大きなエネルギーとなることを雄弁に物語っている。
同社の創業は1986年(昭和61年)。自動制御装置を主力に、印刷機制御装置を開発するなど、メカトロニクス技術を駆使したモノづくりを得意としてきた。といって独立型ではなく、大手メーカーの下請け型の仕事が主力であった。しかし、急速なグローバル化の進展と競争激化の中で、経営に危機感を募らせてきた濱田社長は、このままではいかん、独自の商品をなんとしても持たなければならないと03年、思い切った経営改革に踏み切る。これが、「脱・下請け」、「独自製品開発」の旗印のもと進んだ独自路線だ。
旗印は勇ましいが、現実は厳しい。しかし、下請けのままでは将来の飛躍が望めない。未来へ向かって社内の力を結集するためには、現状の改革、新商品の開発に勝るものはない。04年、レーザーを使った欠陥検査装置の開発に挑んだ。中小企業・ベンチャー総合支援センターの専門家派遣を受けたのをはじめ、官・学の支援のもと、目視や光学系検出装置では従来困難であった、各種シート素材、金属・樹脂・ガラスなど多様な素材のミクロンオーダーの微細な欠陥を高速で検出する装置の研究開発に取り組んだ。苦難の末開発にこぎつけ、05年に販売を始めるまでになった。同装置はりそな中小企業振興財団などが設ける06年の中小企業優秀新技術・新製品賞で優良賞を受賞、時あたかも同社の創立20周年とあって「株式上場も目指す」と宣言、おおいに沸いた。が、濱田社長、この時こそ「最も苦しかった」と本音を漏らす。「装置が思うように売れず、それまでの下請け仕事も減った」からだ。
その逆境を、営業活動の見直しで乗り切る。ホームページもより効果的なものに改善した。展示会出展戦略も練り直した。効果はほどなく表れ、06年には、本社、工場の積極的移転に踏み切るまでになった。他の新商品開発も次々取り組みが始まった。「脱・下請け」のバネがようやく定着してきたようだ。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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