(有)竹田ブラシ製作所
■「穂先をカットしない化粧筆」
業種:化粧用刷毛・ブラシの製造
(有)竹田ブラシ製作所
(有)竹田ブラシ製作所の竹田史朗社長は「なでしこジャパン」の試合をテレビ観戦し、そのあきらめない不屈の戦いぶりに大きな感銘を受けた。その後1本の電話が同社を以前にも増して著名にするとは「その時頭の隅にもなかった」(同社長)。「なでしこの国民栄誉賞副賞として御社の化粧筆が選ばれたので納めてほしい」との関係者および内閣府からの連絡に「びっくりした」(同)。
筆の町として知られる広島県熊野町。同社はその地に化粧ブラシ専門メーカーとして先代社長が創業。現在では歌舞伎などの日本化粧刷毛類から欧米のメイクアップブラシ類まで800アイテム以上の製品を持つ。創業以来商社経由で欧米の化粧品メーカー向けに輸出を開始、昭和40年代には輸出比率が90%を超えたことも。
2代目社長である竹田氏は当初、広島大学で地質学を専攻、17年間、同大に籍を置くという、「家業とは全く別の道を歩んだ」(同)。しかしその傍ら、部品の金型製作を行うなど同社を陰で支えた。先代社長が昭和55年に他界、その跡を引き継いで以降、「攻めの体制にする。それには国内市場開拓が不可欠」と、製品開発と国内市場開拓に全力を挙げる。
製品づくりでは「穂先はカットさせない、全くあるがままの状態にさせる」(同)にこだわる。品質の高い原料毛材でカットしないブラシを作るのは手間と熟練職人が必要。量産もきかない。だが「紅を塗るときは一気に幅広く塗れ、口をつぶっていても軽く入る穂先」である、穂先をカットしないブラシに独自のブランド力を求めた。
このこだわりが内外で世界最高水準との評価を得る。「なでしこジャパン」用の製品納入後、一段と注文が増えた。それでも「今が一番大事。職人自らが1本1本ていねいに作るよう徹底している」(同)。「なでしこジャパン」用に製品が選ばれたのは、信念を持った仕事の積み重ねがあったからこそ。「質は落とさない。自分のブランドを守る」(同)と「量」を決して追わない。選ばれるべくして選ばれた日本の誇る中小企業の1社だろう。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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