ティビーアール株式会社
■「高付加価値のロープを拡販」
業種:組みひもロープメーカー
ティビーアール株式会社
ロープが身の回りで多種多様に活用されていることは案外気が付かない。漁業、農業、インテリア、テントシート用などと言えば、ある程度はイメージがわく。これが河川池浄化といった水質浄化、排水・下水道浄化なども含む環境分野での活用も国内外に普及していると聞くと、多くの人が意外な思いになるだろう。
漁業やエンジンスターター、水質浄化などに使う組みひもロープのトップメーカー、ティビーアール(愛知県豊川市、福井宏海社長)は、長年培った組みひもロープ製造技術を生かして環境はじめ広範な需要開拓に成功している。需要が好調なのは漁業用、テントの縛り付け用ロープなど東日本大震災の復興需要や防災意識の高まりがあるからだけではない。
これらと並び好調なのがエンジンスターターや水質浄化に使うロープ。エンジンスターター用は耕運機、草刈り機、発電機などがアジアでの需要増とともに伸びている。注目されるのが水質浄化用ロープ。その仕組みは、特殊加工した放射状のループ繊維に微生物を繁殖させ、その力で水質を浄化するもの。要するに自然の自浄作用を誘発する原理だ。
もう少し説明すると、ロープの芯の周りに多数のループ状の繊維を立体的に編んだ構造とし、水中のバクテリアを付着しやすくした。まず有機物を分解する好気性バクテリアが付着し、ロープを覆う。このため中心部の酸素濃度が低下して嫌気性バクテリアが付着、好気性バクテリアが排出する汚泥を分解する。つまり1つの処理機で効率的に浄化する。
国内では食品工場向けなどの産業排水処理を中心に手堅い需要がある。しかし何と言っても需要をけん引するのは中国、マレーシアなどのアジア。生活排水が流れ込む河川などを浄化する意識が高まっているからだ。福井社長は「赤字になる製品は受注してこなかった」と自信たっぷり。今後レアメタル捕集用ロープなどさらに、高付加価値ロープの拡販を目指す。元気な中小企業はやはり独自性のある製品開発に力を発揮している。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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