東京総研トップへ

元気な企業(最新)

2006年の記事

 

 

 

 

(株)テサキ製作所

 

■「もったいない」精神が炭焼き窯を生んだ東大阪の町工場
業種:板金加工
(株)テサキ製作所


モノづくりといえば、東の大田、西の東大阪といわれるほど、東大阪市は町工場の多く集まっている土地柄だ。「9000社あった中小企業がいま7000社に減った」(市関係者)と時代の変化を嘆く声もあるが、まだまだ、ダイヤの様な、あるいはいぶし銀の様な中小企業がキラ星の如くだ。板金加工の(株)テサキ製作所(東大阪市宝町、手崎貴之社長)もそうした光る一社だ。「下請け仕事が第1の柱」とかっこをつけない手崎さんだが、 5年かけて炭焼き窯「炭焼き達人」を独自開発、「第3の柱」に育てたなかなかのモノづくり人だ。

創業は1990年(平成2年)。「それまで19年勤めた会社をやめて独立」した。「丁度、バブルの一番最後だったが、波に乗れずずーっと低迷」ととつとつと語る。不振に暗くなりがちだが、へこたれない明るさが手崎さんに満ちている。運を呼ぶ人というのはこういう人柄の人だろうと思わせる控え目な人でもある。出会う人は出会う。いまや、有名になった東大阪の異業種交流グループ「ロダン21」が、97年、参加者の公募をした時に、応募したのだ。「なにか仕事にありつけるのでは」が動機だった。ロダンの仲間は刺激的であったようだ。異なった分野の社長さんたちがそれぞれの持ち味、技術、得意をぶつけあって「一社ではできない新しいもの」(品川隆幸(株)ロダン21社長)を協同して生み出していく醍醐味に遭遇した。アイデアは街の発明家のものもある。「こんなものつくれまへんか」というたぐいだ。アイデアが外部からの場合、ロダンの仲間で得意なところがチームを組んで開発に当たる。消防用の低水位対応吸水装置「クイックキャッチャー」はこの典型。開発には手崎製作所が中心で当たり、ロダンのヒットとなった。「第2の柱」と手崎さんが位置づける商品グループだ。このロダンでのモノづくりの楽しさは、テサキ独自の「炭焼き達人」の開発を誘っていく。

板金工場で仕入れる鉄板やステンレス板を梱包している木材がむだになっていた。これが手崎さん「もったいない」心を刺激したのだ。木炭にできないか。エコロジーでもある。木炭の用途が燃料以外にも案外広いことも背中を押した。「炭焼き研究の世界では日本一」の杉浦銀治先生の指導も受けて、 5年かけ炭焼き窯の商品化にこぎつけ、家庭用はじめ 3種の品揃えもできた。装置作りはおてのもの。全国から注文も舞い込み始めている。11月29日から東京ビッグサイトで行われた中小機構主催の中小企業総合展に初出展、ブースに来場者があとをたたなかった。手崎さんが経営の「第3の柱」と呼ぶ独自商品分野、手ごたえが出てきている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。

 

▲ TOP

2006年の記事に戻る