株式会社ザ鈴木
■すき間を狙うにも市場動向掌握から
業種:海苔等の自動加工機械開発
株式会社ザ鈴木
「すき間を狙え」−中小企業が新規分野に参入を考える場合のキーワードとして誰もが口にする言葉だ。メーンの部分は大企業が占めておりなかなか思うように参入を果たせないため、ニッチな部分だったら何とかなりそうだと誰もが考える。しかし、安易な考えでは上手くいくわけではない。参入しようとする分野の将来性や新規性、ニーズなどあらゆることについて情報収集し、分析し、決断する必要がある。
株式会社ザ鈴木(大阪府守口市)は大手の機械メーカーが扱わなかったニッチ分野の製品を地道に開発、今日に至っている。米飯と海苔を中心にした自動化機械がそれだ。海苔は日本の食文化に不可欠なものだが、生産はほとんどが漁業関係者の手作業に負っていた。乾燥した海苔の裁断や結束などの作業も手作業だった。これは、海苔が薄く、乾燥しているため折れやすく、機械化になじまないなどのためで、どこの自動機メーカーも開発には二の足を踏んでいた。
同社は昭和36年に創業した機械メーカーだが、誰も手掛けたがらない海苔生産の自動化に取り組んだ。しかし海苔関連は零細な業者が多く、自動化機械を入れたいというところは少なかった。そのためメーカーは誰も手をつけたがらないすき間産業として残っていたのである。ここに着目して、海苔100枚を1回で自動切断できる機械などを開発した。
その延長戦としておにぎりなど米飯を加工する機械を考えた。それまでおにぎりは家庭で握るものと思われており、店舗で大量に販売されることは想像できなかった。同社では、おにぎりに海苔を巻くというわずかなすき間を見いだした。当時はスーパーはわずかだったし、コンビニは皆無だった。すき間で勝負しようと考えていた同社も、スーパーやコンビニが全盛になり、おにぎりはコンビニだけで1日に1000万個を売り上げるビッグ商品に成長したため、自動化機械も需要が着実に増加するようになった。
おにぎりにフィルムと海苔を一緒に巻いて、ワンタッチで処理するという包装機の需要が急拡大、さらに海苔巻用の機械なども受けに入っている。スーパーやコンビニが生んだ食生活の変化や、女性の社会進出、未婚者の増加など生活スタイルの変化に、同社は対応したことになる。「相手があってこそ仕事が来る。いつでもお客さんの動きに対応できるよう、市場の動きをつかむことが肝心だ」(鈴木充社長)という。すき間産業が発展するかどうかの見極めこそが必要だろう。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
著作者の承諾を得て掲載しています。無断転載ご遠慮願います。
▲ TOP
2009年の記事に戻る