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2011年の記事

 

 

 

横丁とうふ店

■「卸から直販に転換した豆腐屋さん」

業種:とうふの製造直販
横丁とうふ店

「小さな町の小さな店」といえば豆腐屋さんがまず頭に浮かぶ。だが店をどうやって維持、成長させるかという点になると、誰しもがネガティブにならざるを得ない。地方ではおおむね人口減少から需要の伸びは期待薄だし、スーパーでは量産ものの豆腐が顧客を引き付けている。

「生き残るために卸売りはやめた」−こう振り返るのは山形県大石田町の「横丁とうふ店」2代目・五十嵐智志代表。卸中心から製造直販への業態転換だ。卸売りなら一定の収入は見込めるが、小さな町にあって直販は保証が全くない。だが敢えて五十嵐代表は決断した。その裏には商品の高付加価値化に対する自信と消費者ニーズに対する確かな信念があった。

製造直販の取り組みは平成17年12月に製造工程の見学ができる「イートイン型店舗」のオープンとなって花開いた。安全、安心を追求するため地産地消を前面に押し出す同社の試みが年を追うごとに支持された。豆腐づくりでは自然のうまみを引き出そうと、山形県内で生産される秘伝豆という枝豆などを材料に使う。製造では一般的な「消泡剤」を使わず通常の2倍の手間と時間をかけて他社との差別化を図る。

ただ現在の売り上げの7割程度は自家製だんご。当初、同代表の母親が豆腐製造用の蒸気ボイラを利用し、盆や正月などの季節限定商品として作っていた。これを平成12年に山形市内のデパートで開かれた「大石田フェア」に出品したところ1日に1000本売り切ったことから「最上川千本だんご」と名付けて商品化した。

だんごのキャッチフレーズは「明日には硬くなるだんご」。天然素材にこだわり余分な添加物を使っていないこの商品は人気が沸騰した。「生産者の都合で添加物を使うのは食品の変質につながる」(同代表)。豆腐づくりと全く同じコンセプト。店舗は、地域社会の願いでもあった古くからの蔵屋敷を活用している。ここで豆腐を使った創作料理にも挑戦する。不況にあえぐ地方の商店街復活のヒントが同社の試みに隠されているようにも見える。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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