特殊金属エクセル
■保有技術を駆使し顧客の厳しい要求をクリア
業種:特殊鋼加工
特殊金属エクセル
顧客の要求は切りがない。とりわけ技術に対してはどん欲であり、技術の進歩に合わせ要求が多様化し複雑化する。こうした要求に追いつけない企業は脱落を余儀なくされる。技術面ばかりでなくあらゆるハイレベルな要求を正面から受け止め、クリアする企業が市場のイニシアチブを握るともいえる。高機能材料メーカーの特殊金属エクセル(東京都豊島区)も顧客のハイレベルなニーズに対応するため、全力を挙げてきた。
同社は戦前、特殊鋼の精密バネ用材料で品質日本一の評価を得たという。戦後間もなく冷間圧延材料の生産を開始、さらに10ミクロン厚の冷間圧延材製造技術を確立、さらにカメラシャッター用の特殊鋼箔、ヘッドフォン用のステンレス材など、大手メーカーの要求にマッチした製品を次々に開発してきた。しかも、多くの製品がトップシェアを確保している。
この原動力になっているのが「すり合わせ技術」だ。これは顧客の要望に応じ、保有する材料技術や生産技術などあらゆる技術とノウハウを組み合わせ、顧客が求める材料を開発するもので、オーダーメードの材料といえる。同社には「品質レベルが高くトラブルが発生しない」、「後工程の加工が不要になった」などの声が寄せられているほどだ。製品の用途や特性に応じて多様な技術を組み合わせ、技術と技術をすり合わせることで「従来にない新しい材料を生み出すことができるため、顧客から高い信頼を得ている」(谷口能人社長)。
同社は精密切削技術、表面改質技術、はんだ処理技術、冷間接合技術などの加工技術を保有しており、これらの技術と素材を組み合わせることで、月間5000種類もの材料を手掛けるという。顧客のハイレベルな要求に対して、技術的なすり合わせを徹底的に行い、自社の保有技術と、顧客ニーズをすり合わせ、これまで世の中に存在しないような材料を作り出している。
現在、「超微細粒冷延薄板を用いた精密プレス加工技術」の開発を進めている。超微細粒冷延薄板は強度や疲労特性、加工性の向上などが期待される材料で、この材料特性を生かしたプレス加工技術の開発を目指している。このプロジェクトは2007年度の経済産業省「中小ものづくり高度化法」の認定を受けている。同社では個々の技術ごとにプロジェクトを立ち上げているが、その中核にあるのは「すり合わせ」ということになる。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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