東京山喜(株)
■斜陽産業に新風を吹き込む新業態!着物リサイクルショップ
業種:着物リサイクル
東京山喜(株)
斜陽化が心配される着物産業。その危機感から着物リサイクルを事業化し、それが女性達の心を捉えて静かなブームを呼び始めた。「これぞビジネスを再興する21世紀型リ・ビジネス」と自信を深めているのは、この新規事業の仕掛け人でもある東京山喜(株)(東京都中央区、従業員50人)の中村社長。
同社の前身は、大正13年創業の京都の老舗呉服卸店。昭和36年に東京へ進出して東京山喜を設立してからも卸業を主体にしていたが、着物需要の落ち込みが続いて売上げは低迷一方。その折、家業を引き継いだ中村社長が編み出したのが、着物業界初のリサイクル事業。古本屋のイメージを変えた「ブックオフ」の明るくきれいな店舗を見た時にひらめいて、平成11年秋に着物リサ
イクルショップ『たんす屋』という新業態の店舗を立ち上げた。
『たんす屋』は、文字通り家庭のタンスに眠っている着物を買い取り、丸洗い→抗菌・消臭→検針→プレス加工してリファインし、その商品を驚くほどの低価格で販売する。しかも、お店は「入りやすく出やすい店」がコンセプト。かつての古着屋の3K(暗い・汚い・臭い)を払拭し、気楽に立ち寄って楽しめる着物店を具現化した。これが受けて急成長し、ここ4年余の間で70店舗ほどの販売ネットを構築した。
商品調達に相当する買取は、店頭買取のほか、専門家による出張買取、宅配便送付による買取、さらに希望が多かった引越時の買い取りは大手引越業者と提携し、チラシを転居者に配付し、不要な呉服を回収。リファインした商品の中心価格帯は、数千円から数万円の安さ。このほか中国で製作した新品の着物を加えて幅広く品揃えし、古い着物ではサイズの合わない若い女性にも対応する戦略を展開。同社自体はこの事業をSPA(アパレル製造業)型リサイクル業と称し、現在では年間23億円ほどの主力部門に育ち、収益率も良い。
ここに、家庭に死蔵された着物を市場に引き出して、着物の潜在需要を掘り起こすというビジネスモデルが定着しつつある。今後は『たんす屋』を150店舗に拡大し、着物以外の商品リサイクルを手がけ、海外市場も狙っている。中村社長の「山を高くするために裾野を広げる」との積極方針は、斜陽産業からブレークしてきたことの自信かも!
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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