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2011年の記事

 

 

 

株式会社特殊衣料

■「顧客との信頼関係が成長の礎」

業種:病院・施設などの清掃業務やリネンサプライ等
株式会社特殊衣料

2代目社長は、その会社の浮沈を握る重要な役割を持つとよく言われる。札幌市で病院・福祉施設向けのリネンサプライ(クリーニング)からスタートし、創業30年を迎えた(株)特殊衣料(札幌市西区)の池田啓子社長は今から15年ほど前、前創業社長から後継社長に指名された。週1日勤務のパートの身分で入社し、今では同社を優良中小企業に育て上げた。

「実は叔父に当たる前社長から社長就任の打診があったとき、社長業はあまりやりたくなかった」という。「責任が重いし自分の力量では無理だと思ったから」と。だが一方では、毎日が新発見の連続で仕事が楽しくて仕方なかったという池田社長は、「お客様と対面しながら仕事をしていてニーズを肌で感じていたから絶対大丈夫という自信もあった」。

社長就任時はリネンサプライが事業の9割近くを占めていた。同社長は顧客からの要望を受けて次に、病院・施設専門の清掃業を手掛けた。工夫したのは、顧客や現場スタッフの声を聞きながら、独自の方式を採ったこと。1つのモップ、2つのバケツを使い一筆書きのように拭く「S字拭き上げ」に加え、床だけでなく空気中に浮遊する塵や埃も掃除する「デンマーク式清掃」と呼ぶサービスを徹底した。

こうして顧客との信頼関係を築いた現場からは、いろいろな要望が次々と舞い込んだ。これを受けて福祉用具事業にも参入し、リネンサプライ、清掃、福祉用具という事業の「3本柱」が出来上がった。従業員数もパートを含め135人になった。福祉用具では頭部を保護する「保護帽」の製作・販売にも乗り出している。これもスタッフの声を汲み上げたものだ。

「保護帽」は平成15年にグッドデザイン賞に選ばれ、平成20年には保護帽のインナーの製作・販売事業計画のコア企業として、中小機構北海道支部の支援を受けて、新連携事業計画に認定された。今秋には斬新なデザインを持つ新たな保護帽を世に問う計画でいる。同社は最初から多角化を狙っていたわけではない。「自然発生的にこうなった」(同)。顧客に育てられた、との意識を強く持つ同社長の経営の原点は、貴重な教訓を含む。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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