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(株)鯖や

■「サバの総合商社目指し“サバ読み38歳”社長が快進撃」

業種:サバの加工と販売
(株)鯖や

秋サバの季節。定番のサバ塩、サバ味噌はもちろん、刺身、棒寿司、バッテラ、竜田揚げ、西京焼など、旬の味覚を堪能したい向きにはこたえられない時期だ。そんなサバ好きに狙いを定め、サバ寿司・サバ加工食品の製造販売で躍進中なのが鯖や(大阪府豊中市、右田孝宣社長)。“サバ博士”を自認する右田社長はイベントや講演でサバの魅力を訴えて需要拡大を図る一方で、サバの養殖による供給拡大にも取り組んでいる。「サバの総合商社を創る」(右田社長)と、サバ一本に絞り込んだ事業戦略で、さらなる高みを目指している。

鯖やは、平成19年(2007年)に右田社長が創業した。右田社長は20代前半の平成9年(1997年)、オーストラリアに渡り、数年間、当地の和食店で働いた。その経験を生かし、帰国後、大阪で居酒屋を開業。居酒屋でサバ寿司が大人気となったのをきっかけに、サバ料理に特化した鯖やの設立に踏み切る。当初は法人向け宅配サービスを手掛けて、その後、催事販売、ネット販売、サバ料理専門店…と業態を広げて、今日に至る。

創業時、知名度のない中で、どのように販路を開拓するか…。まず、目立つこと、知られることが先決だと考えた右田社長は、「配達用バイクとしてサバの模型を乗せた“サバイク”を開発」、「催事販売のBGMとなる鯖やテーマソングを作成」、「サバ博士を名乗り、サバの専門冊子を発刊し、サバ博士ホームページを開設」−等々、あの手この手を打ち出した。努力の甲斐あって、知名度は高まり、知名度と共に業績も上昇気流に乗った。そのユニークな取り組みが評価されて、近畿経産局の「感性サービス撰」にも選ばれた。

「SABAR(サバー)」と名付けたサバ料理専門店の第1号店は昨年1月、大阪に開店した。開業資金はクラウドファンディング(不特定多数からのネットでの小口資金調達)で充当した。サバ料理専門店という珍しさが受け入れられ、資金は予想を上回るスピードで集まった。京都や東京にも同様の手法で出店。店の席数は38席で、メニューの品数は38などサバ(38)に徹底的にこだわった。現在、一けたの店舗数の目標も当然38だ。

食ビジネスでは品質、信頼が何より大切なのは言うまでもない。同社では青森県・八戸近海で獲れるブランド魚「八戸前沖サバ」を用いることで、高品質・高信頼性を担保。また、鳥取県栽培漁業センターやJR西日本との共同プロジェクトにより、寄生虫「アニキサス」の心配がない陸上養殖サバの普及にも乗り出した。海外進出も具体化しつつあり、サバの総合商社へ向け着々と前進中の同社は「2018年の上場を目指す」(右田社長)と、次なるステップアップを見据えている。「年齢はサバを読んで38歳」という右田社長だが、その事業計画にサバ読みは感じられない。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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