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元気な企業(最新)

2006年の記事

 

 

 

 

東洋ゼンマイ株式会社

 

ゼンマイ一筋、新市場創造に知恵しぼる
業種:ゼンマイ製造
東洋ゼンマイ株式会社


ゼンマイというと、時計が頭に浮かぶ。そのゼンマイ式時計、最近は見かけなくなった。でも、おもちゃ市場ではゼンマイはがんばっている。そのおもちゃ用ゼンマイの世界市場の3割を供給する元気企業がある。東洋ゼンマイ株式会社(富山県黒部市、長谷川光一代表取締役)がその企業。しかし、この会社が元気なのは、それに安住せず、ゼンマイ式音声ガイド装置など、ユニークな新製品を開発、ゼンマイの魅力をトコトン開花させようと懸命に取り組んでいる点にある。

同社の設立は1930年(昭和5年)。以来、ゼンマイの製造に特化し、鋼の熱処理技術を高めてきた。原材料に合わせた熱処理時間や温度のノウハウをもとに、薄くて小型ながら大きな力を蓄えるゼンマイを供給して、70年を大きく越す歴史を持つ。時代の変遷とともに時計向けの需要が縮小する中、家電製品や自動車部品などの分野で用途拡大をはかってきた。玩具向けのゼンマイはとくに同社は強く、玩具の生産が海外に移った現在でも、高い品質が優位性を持ち、玩具用ゼンマイの世界シェアの30%を獲得している。とはいえ、ゼンマイ市場に見切りをつける企業も少なくない。かつては多かった同業もいまや全国で10社程度になったとされる。同社のがんばりは業界でも光っている。しかし単にがんばり屋の老舗メーカーに終わっていないのがすごいところだ。ゼンマイの「小さなスペースで効率的にエネルギーを蓄積できる」という特性をなにかに活かせないか。長谷川社長が先頭に立ち、社内こぞって新用途創造へアイディアを出し合った。

立山・黒部の名勝、室堂の展望台に四角いポストのような形の音声ガイド装置が据えられている。ゼンマイ式でできており、観光客がゼンマイを巻くと、景色の説明音声が流れてくるのだ。ゼンマイ技術を応用した発電装置が中に組み込まれ、その力が音声ガイド装置を駆動させるのだ。これこそ、同社の開発品だ。ヒット商品となった。「電源の無い所でこそゼンマイは力を発揮します」と長谷川社長。これを弾みに災害対策用をはじめ様々な応用を考案中だ。時代は、環境にやさしいエネルギーを求める時代に入った。半世紀を越える熱処理技術の蓄積がまさにいま花を開こうとしている。新分野への挑戦意欲を後押しするように、今春、「元気なものづくり中小企業300社」の1社に同社は選定された。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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