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つくばテクノロジー(株)

■「つくば発の“視る非破壊検査”で世界市場を開拓」

業種:非破壊検査装置の開発
つくばテクノロジー(株)

「百聞は一見に如かず」と言う通り、視る(見る)ことは聴く(聞く)ことの100倍もの情報をもたらす。そのことわざを科学・技術の世界で実践しているのが、非破壊検査装置メーカーのつくばテクノロジー(茨城県つくば市、王波社長)だ。同社では非破壊検査で主流の「聴く検査」に替わる「視る検査」の手法・製品を開発し、その普及に力を入れて、国内外で納入実績を着々と積み上げている。

中国陝西省漢中市出身の王社長は、西安電子科技大学を卒業後、平成5(1993)年に筑波大学大学院に留学し、その後、産業技術総合研究所などで研究業務に携わる。平成17(2005)年、有限会社として同社を立ち上げて、平成19(2007)年には株式会社化し、また、産総研技術移転ベンチャーの認定を受け、今日に至る。王社長は「ずっと研究を続けて大学の教授になるものと思っていたが、産総研に来てから徐々に考えが変わった。中国に行った時、集まった友人、クラスメートの半数以上が起業して活躍しているのを知り、勇気づけられ、起業を決心した」と創業当時を振り返っている。

現在、非破壊検査でポピュラーな超音波探傷法は、レーダーの原理を利用したパルスエコー法と呼ばれるもので、検査の専門家による「聴く検査」となる。それに対して、同社が王社長らの研究成果を基に開発したレーザー超音波可視化検査装置は、被検査物がどれだけ複雑な形状であっても、超音波伝搬の様子を短時間で映像化できるようにし、検査物内部や裏面の欠陥を、非熟練者でも容易に見つけ出せる「視る検査」を可能にした。

この「視る検査装置」は航空宇宙や発電施設などで活用されており、輸出実績も上がっている。製品・技術のレベルの高さは、日本非破壊検査協会奨励賞/優秀解説賞、日本可視化情報学会技術賞、Japan Venture Awards中小機構理事長賞をはじめとする各賞の受賞が雄弁に物語る。同社では同装置のほか、小型X線検査装置や放射線線量計を産総研などと共同開発している。そのうち、乾電池で駆動、持ち運びが容易でどこでも使える小型X線検査装置は「販売実績はこれからだが、今年度1億円の売り上げを見込んでいる」(王社長)と期待を寄せる。同社の年間売上高は数億円レベルなので、第2の柱となるものだ。

産業インフラの非破壊検査に続き、小型X線装置などで医療市場に進出し、さらに社会インフラの非破壊検査に取り組む−同社ではそんなビジョンを掲げている。国内外で老朽化問題が広がる社会インフラ関連では、国のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に参加し、橋梁などの点検・モニタリング・診断技術の開発で大きな役割を担っている。「創造 発展 貢献 つくばから世界へ」を理念に掲げるつくばテクノロジーは、理念の通り、社名の通り、“つくば発の独創技術”で世界市場を掘り起こしつつある。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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