上野精機株式会社
■“ナンバーワン”製品で世界を狙う九州パワー
業種:半導体製造装置開発
上野精機株式会社
九州地域に半導体産業が根を張り、新興のシリコンアイランドで頭角を現す地元企業が続出している。かつて石炭産業が栄えた筑豊の近郊に創業した上野精機株式会社(福岡県遠賀郡水巻町、上野昇社長)はその代表格。地元では産業構造転換に貢献するとともに、技術が勝負の半導体製造装置の分野で世界市場に「UENO」ブランドを広めつつある。
同社の創業は1972年。まだ半導体の製造装置がない時期に、ゲルマニウムダイオードの製作に使用する精密治工具メーカーとしてスタートした。下請け企業では発展性がないと見極めて、半導体製造装置に本腰を入れ始めたのは82年頃。自社ブランド製品を持つことにこだわり、持ち前の精密技術が発揮できる製品分野に特化する道を選んだ。それが半導体の特性をテストする「テストハンドラー」である。高品質な半導体生産には不可欠の装置だが、競争が激しい。独自性を重視し他社にも増して装置の小型化と処理能力の高速化に心血を注いだ。その努力が実って国内大手をはじめ、米国、中国などの半導体メーカーに採用され、国際的な自社ブランド製品を実現することになる。
今日、半導体メーカーの工場は無人化が一般的である。生産ラインを自動化する半導体製造装置こそ高度な技術の集合体で、技術力で優劣が決まる。同社のテストハンドラーは98年に第1号機を製品化して以降、世界トップ水準を更新し続け、05年の新製品では1時間当り3万6000個という最高速処理を達成、1台の装置で最終特性テストと収納テープへの梱包も行うようにしてユーザーの目を引き付けた。同様に、後工程用の製造装置も小型化・高速化を追求してシェアを伸ばした。いまでは従業員130人を擁する中堅メーカーに規模を拡大し、業界の先頭集団に加わる勢いだ。
「やるからにはナンバーワンになる」が上野社長の方針。そのために技術開発を優先し、人材投資にも極めて積極的だ。基本技術から積み上げて、世界ナンバーワンの製品を増やすという。そこに「九州から世界へ」の経営戦略が見えてくる。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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