株式会社ユニオン産業
■「環境に優しいプラスチックを」
業種:自然環境にやさしい燃やせるプラスチックの成型加工
株式会社ユニオン産業
世間から、なかなか認られなくても諦めずチャレンジし続けている企業が、数多くある。株式会社ユニオン産業(神奈川県川崎市:森川真彦社長)もそんな一社だ。昭和45年の創業以来、家庭用のナイフ、フォーク、車内用のドリンクホルダー、ミラーなどプラスチックの成形加工を行ってきた。
15年前に転機が訪れる。カナダに製品を持ち込んだが、その取引先から「扱う代わりにカナダの製品も扱ってくれ」と頼まれ「とうもろこしの生分解樹脂」を持って帰ってきた。この時、天然樹脂いわゆる「環境樹脂」を初めて知った。「こんな世界があるのか」と興味を持ち、のめりこんでいった。もしかしたら、日本にある天然樹脂を使い、新しいプラスチックができるのでは。期待は大きく膨らんだ。
しかし、そう簡単にはいかなかった。素材は数え切れないほどある。あっという間に4年、5年と過ぎた。それでも辞めなかった。「興味があったんだねえ」と森川社長は振り返る。ついに一つの納得のいく答えにたどり着く。それが「竹と麦」だった。竹と麦を
200ミクロンに砕き、配合し、箸などに加工してみた。
天然素材なので燃やしても有毒ガスが出ない。また、抗菌作用があることがわかった。カビが生えにくいので、石けん箱や弁当箱にも向いている。風呂トイレなど水回りの製品にもいい。抗菌作用があることで赤ちゃん用のマグカップなどにも安心して使ってもらえる。ところが、また壁にぶち当たる。「そこまで必要ない」「コストは少しでも安い方がいい」と認めてもらえなかった。それでも粘り強く、PRし、工夫を重ね、ようやく、最近の環境問題への意識の高まり、ナフサ価格の高騰もあり、使ってもらえるようになってきた。
ここまで来るのには10年以上かかったが、「展示会など常に声をかけてもらった川崎市には感謝している」「市内で試験的に使ってくれる、デザインを協力してくれるなど、近くに応援してくれる仲間がいたことも大きい」(同社長)と市への感謝と集積の意義を強調する。今後も「受け身ではなく、攻めの経営をしていきたい」と森川社長。新たな素材にトライするなど挑戦は続いて
いく。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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