(株)ワーロン
■“先手・先行”の顧客獲得!インテリア素材メーカーの戦略
業種:インテリア素材メーカー
(株)ワーロン
「ユーザーの要望にすばやく応える。そのために意思決定を早め、迅速に行動する。いわば、“先見、先手、先行”の実践だ」と語るのは、スピード経営を持ち味に顧客獲得の成果を上げているインテリア素材メーカー「(株)ワーロン」(名古屋市、従業員70人)の渡辺社長。
セルロイド玩具メーカーとして大正11年に創業した同社は、昭和29年に百貨店でのセルロイド玩具の販売が中止されると、プラスチック玩具への転換を模索し、この中で和紙の両面に塩ビをプレス加工で貼り合わせる技術を開発。昭和35年には、和紙の風合いを活かしつつも破れにくく、水拭きが出来る、洗える障子紙「ワーロンシート」を発売した。その後、アクリル板に障子柄等の和風柄のフィルムを貼り合わせた製品等を開発し、照明器具、和風ディスプレイへと分野を広げている。
同社の製品が広く普及した要因は、高品質の製品を短期間に供給出来ることにある。渡辺社長は、「内装の仕上げは建築物の完成直前。小ロット・短納期の注文に対応出来なければならない。」と語る。同社では、午後3時までの注文は、たとえ1枚であってもその日のうちに出荷する。このため、社内の受注管理のシステム化、自動倉庫の導入、配送センターの完備といったハード面に加え、繁忙時には受注担当以外の他部署でも、例え社長室からでも受注システムへの入力が出来る体制を構築している。渡辺社長は、「短納期を可能にすることで、時間が足りずに諦めてしまうデザイナーのこだわりを実現したい。そして日本の和風空間を守ってゆきたい。」と語る。
同社では、スピードある意志決定が出来るよう、縦割りの「職制組織」と横断的な「委員会組織」に加えて、組織の枠にとらわれず課題毎に必要な人材を集めて「プロジェクトチーム」を組織している。この立体的で柔軟な組織を同社は“3D組織”と呼び、顧客を巻き込んだ様々なネットワークを用いたスピード経営実現の手段としている。
「機動性こそ中小企業の強み」と言われる。同社の戦略の原点はCS(顧客満足)の追求であり、いかに顧客のニーズを早期に収集し機動的に実現して行くか、今後は、自ら顧客の立場に立って生産者たらんとする”プロシューマ”の観点から取り組みを強化しようとしている。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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