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2007年の記事

 

 

 

和光化学工業

 

■ビン塗装の実現が次々に新技術生む

業種:ガラスの静電塗装
和光化学工業


ガラスの着色は金属酸化物を混ぜる方法と還元雰囲気を用いる方法が主流だった。酸化コバルトは鮮やかなブルー、酸化銅は淡いブルー、酸化クロムはグリーン、酸化マンガンは紫といった具合である。このほか、酸化セリウムや酸化チタンなども使われる。還元雰囲気を用いた場合、茶色は鉄分と硫黄を添加、セレンは赤系、カドミニウムは黄色系となる。いずれもガラスにするときに混ぜたり添加したりする。ところが、約40年前に塗装によるガラスへの着色を実現した企業がある。和光化学工業(大阪市平野区)がそれだ。絶縁材であるガラスに静電塗装する技術を開発したのである。

同社は金属製コンパクトや化粧品容器のふたの静電塗装を手がけていた。そうした中で化粧品メーカーから「ガラスビンにも塗装ができないか」という注文を受けた。当然、静電塗装の利用をイメージした。しかし静電塗装は導電性のある金属に塗装する方法として用いられていた。「そこを何とかできないか」と考えたわけだ。

ただ、塗料をガラスビンに吹き付けるのでは、塗料がすぐにビンから剥離してしまう。粒子の細かい塗料を用いるとともに、静電塗装機に改良を加え、ようやく90%以上の吸着率を可能にした。これによりあらゆる色のカラーガラスが可能になった。しかも透明度の高いガラスにコーティングすることで、「他の素材では考えられないような美しいカラーの透明ビンが可能になった」(米田禎孝社長)し、パール調やグラデーションコート、何層にもコーティングすることによる陶器調のガラスもできるようになった。そればかりではない。紫外線や可視光線をカットするガラスや抗菌ガラスも実現したのである。静電塗装だからこそ出来たともいえる。

ビンなどガラス類への静電塗装ノウハウはビンへのレーザーマスキング技術を生みだした。塗装後のビンに特殊なレーザー光線を照射し、その部分の塗料を蒸発剥離させてしまうものだ。ビンの表面を傷つけずに自由なデザインを施すことができるため、デザインを重視する化粧品用ビンなどにはうってつけの加工技術といえる。

ビンへの静電塗装は環境にも大きな威力を発揮している。従来のスプレーガンによる塗装に比べ、塗料ミストが大幅に削減された。工場の内部は塗料の臭いさえないほどだ。またガラスのリサイクルにも貢献している。従来のカラーガラスは色別に再生処理するか粉砕して廃棄処分にするかだったが、塗装ガラスのため回収後、塗料を落とせば、全てをリサイクルできる。同社は塗装分野で環境配慮型のオンリーワン企業を目指している。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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