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2011年の記事

 

 

 

(株)ウェルシィ

■「地下水浄化システムで環境に貢献」

業種:地下水の飲料化プラント開発
(株)ウェルシィ


(株)ウェルシィ(東京都千代田区)の福田章一社長が、飲料用としての地下水に着目したのは、「顧客からの相談」がきっかけだった。昭和60年に節電装置の開発や販売を目的に同社を設立。ある時、顧客から「電気だけでなく水に関する費用を節約する方法はないか」と相談を受けた。同社長はそれ以来、「水」について詳しく学んできた。その末に、「地下水の飲料化」というアイデアにたどり着いた。

地下水と水道水を併用することで、地震など非常時の水ライフラインが確保でき、公共水道料金の節減にもつながる。こうした新たな発想で、地下水を飲料水として使えるようにする技術開発に乗り出した。その結果、「中空糸膜」を開発、地下水を飲料化するための膜ろ過システムを完成した。深井戸を掘りプラント内に水をため、砂や膜でろ過した後に供給する仕組み。

平成7年1月に起きた阪神・淡路大震災では、水道水の復旧に最大3カ月を要した。一方、井戸については過去の地震で受けた影響が比較的少ないといわれる。ただ、営業に当たっては「地下水をろ過して飲料化する」というコンセプトが理解されず苦労した。どうしても顧客が「本当に安心して飲める水なのか」などと不安を抱くためだ。

この不安を解消するため同社は厳しい水質基準を設けるとともに、専門スタッフを配置した。さらにオンライン検知システムで常に監視し、異常時には自動的に公共水道に切り替わるという方式を徹底した。以降、次第にこのシステムを導入するところが増えていった。現在では、膜処理による飲料水生成システムの導入先は国内で800件以上にも上る。

このシステムが社会に受け入れられたのは、顧客に安心・安全を与える方法を模索し、自信を持って提案したことがポイントだった。こうした事業の新規性と成長性が注目され平成18年には、日本ニュービジネス協議会連合会などが主催する「ニュービジネス大賞」最優秀賞を受賞。「地球すべての生命の源である『水』を守る」ことを今後も貫く。「最近は地球環境向上という方針に共感して入社する人が増えている」と同社長。同社の存在感はますます増している。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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