八木満タオル株式会社
■逆風はね返し柔らかく前進
業種:タオル製造
八木満タオル株式会社
全国屈指のタオル産地、愛媛・今治。安い海外製品の流入で地盤沈下に苦み、企業数も減っている。この逆風の中で、たじろがず、インターネット販売に挑む一方で、マフラー市場という新たなタオル市場を切り開くなど、常に前を向いた経営で苦境に立ち向かっている中小企業がある。八木満タオル株式会社(今治市、八木宣彦社長)がその企業だ。
「タオルを作り続けて46年」(八木社長)。同社は、歴史を持つ企業が少なくない地場のタオル業界でもベテラン企業の一社だ。しかし、決して伝統にあぐらをかいていない。局面打開へ果敢に挑戦し続けている。もちろん、じっとしていては生き残れない環境の厳しさが指折りのタオル産地・今治にはある。中国をはじめとするアジア製品が今治の行く手を阻んできたからだ。ピーク時(1974年)500社以上を数えた同地区のタオルメーカーはいまや約150社にまで減っている。
90年代、インターネット販売に同社が乗り出したのも逆風下でのサバイバルだった。だが、八木社長、必死の形相で挑むといったような堅苦しさはない。「ちょうどインターネットが流行りはじめた時期。ちょっとやってみるか」と軽い気持ちだったと振り返る。この柔らかなセンスが同社の“信条”のようだ。新しいことに敏感で、しかも柔軟。同時に結果にも無理な要求をしない。この柔らかさなのだ。ネットによる販売は伸びた。しかし、ネットへ過剰な傾斜は行わなかった。この10年で、ネット販売は売上げ全体の10%という。この1割をどう見るかだが、時代の流れに敏感であることが大事で、売上げ以上の効果を同社はネット販売の経験から得たようだ。
本道は新製品開発。先端を行くネットで販売を伸ばす中で、やはりなんといっても新製品を生むことが大事と八木社長強く感じたようだ。ネット販売開始時には60点程度だった品揃えも、その後3倍増、4倍増させた。従来のタオルやバスローブに加え、タオルマフラーやベビー用品という新商品群を充実させた。マフラーでは優秀製品賞など受賞作も相次いだ。「支援機関の知恵、力を借りて、もっともっとオリジナリティーある新製品を開発していく」とマフラーに次ぐ高付加価値品の開発に強い意欲を燃やす。今治のタオルは、100年以上の歴史の中で産地の技術として育まれてきた地域の資源である。時代の先端に大きな関心を払いながら、地域資源を活かした本道をきちっと歩んでいく。この同社のバランスのとれた柔と剛に注目していきたい。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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