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2007年の記事

 

 

 

矢島工業株式会社

 

■技術力が自動車部品参入の条件

業種:金属プレス
矢島工業株式会社


先日、自動車メーカーの購買セミナーを覗いてみた。購買担当役員がプロジェクターの画面を指しながら熱弁をふるい、中堅・中小の部品メーカーや金属加工メーカーの担当者1000人近くが熱心にメモをとっている。「自動車メーカーとの取引を拡大したい」、「新たに自動車部品に参入したい」という熱気にあふれていた。プレス加工の矢島工業株式会社(群馬県太田市)と自動車のつき合いは古く、戦後間もなく富士重工業と取引を始めている。

自動車各社は当然「品質が良いものを安定的に調達する」ことを購買戦略の基本に置いている。かつてのように「系列だからやむを得ない」、「昔からつき合っているから調達せざるを得ない」というようなことはほとんどない。裏を返せばどのようなメーカーにもビジネスチャンスがあるわけだ。現在、日本の自動車部品出荷額は16兆円を上回り、部品点数も極めて多い。だからこそセミナーが満員盛況となるのもうなずける。

自動車部品は安全性、軽量化、省エネ、環境対策などがキーワードだ。そして、コスト削減である。部品メーカーはこうしたニーズを先取りし開発・提案していかなければならない。努力を怠ればすぐに調達対象先からはずされる。矢島工業は戦後まもなくスクーター部品の生産を開始、以来、強みの開発力を武器に自動車各社との取引を拡大してきた。現在、取り組んでいるのが難燃性マグネシウム合金の自動車部品への応用である。

マグネシウムの最大の問題は燃えやすいことだったが、難燃性マグネシウム合金が開発されたことから、この合金を用い鉄やアルミの代替素材として天井補強材、シートフレームなどへの利用にメドがついた。あとはプレスによる量産加工技術を開発すれば実用化だ。さらに伸縮性や剛性をクリアできればエンジン部品にも使えると見られている。難燃性マグネシウム合金は「ものづくり基盤技術高度化法」の認定を受けており、自動車分野だけでなく様々な分野で需要が見込めると考えられている。

すでに試作を終えテスト段階にこぎつけた部品もあり、当初計画よりも量産化が早まりそうだ。同社は「部品だけでなく技術を売る会社であり、技術を提案できる会社になる」(横山溥社長)ことを目標にしている。多くの企業が自動車メーカーを取引ターゲットとしている中で、技術力を持ち、その技術を生かした提案ができないと、自動車メーカーに相手にしてもらえない。同社は60年近く一貫して技術力に磨きをかけてきたからこそ、中小企業であっても自動車メーカーに一目置かれる存在として生き抜いてこられたのだろう。



著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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