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2003年の記事

 

 

 

 

 

(有)山口園芸

 

■“強い苗”の技術で農業革命を!
業種:野菜の苗の生産販売
(有)山口園芸

「日本の農業は思い込みや迷信にこだわり過ぎる。既存の常識を覆すことが農業の経営革新を生む」と自信たっぷりに語るのは、オリジナル製法の野菜苗を全国の農家に販売し、日本一の出荷量を誇る(有)山口園芸(愛媛県津島町、従業員数225人)のリーダー、山口社長。

創業当初は、個人経営で花栽培を行っていたが、1986年に独自の育苗技術を開発し、キュウリ、トマト、ナスなどの野菜生産農家用の苗の生産に転換してから急成長。以来、同社は苗産業のイニシアティブをとってきた。

従来は自根から栽培する方法が一般的だったが、同社の苗は、「台木」と呼ばれる根の部分と実ができる「穂木」をつなぎ合わせて「接ぎ木」(病害に強い苗)にしたことが、何よりの優位点であった。更に「農作業が少しでも楽になる手法」として、培土を包んでいる黒いポリ鉢を取り外して植え込む「ポット苗」ではなく、紙製の素材で用土を包んで直接植え込む「アースストレート苗」に改良し、手間とコストの利点が評価されたことも普及に拍車をかけた。

かつて、多くの野菜生産農家は自家で苗を育てており、「苗を買う」という習慣は無かったが、同社は「全国24時間以内配達」という“ジャスト・イン・タイム”的サービスを実現し、この「壁」を打ち破った。こうして販路が全国的に広がり、今では年間1,600万本という苗を出荷するに至っている。

最近では、大学との共同研究により、ナスやトマトの苗を12日間以上保存する技術を開発。苗の長期保存が出来ると、人気苗の集中生産や育苗の分業化、低価格化にも役立つ。「農業では難しい安定生産を可能にするのは技術だ」と社長は技術開発を重視し、2年前には研究開発主体の子会社も設立した。

驚いたことに、同社の従業員225人の殆どが正社員。しかも、その大半が地元の津島町民である。育苗は高度技能を要する労働集約型産業でもある。このため、社長は「社員教育を徹底して、きちっとした社内体制を敷き、地域ぐるみで農業革命を起こす」という程の意気込みである。農業はまさに「地に根差した産業たるべし」との手本とも言えよう。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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