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2007年の記事

 

 

 

山野井精機

 

■国の制度を活用しマグネシウム加工法を研究・開発

業種:マグネシウム加工
山野井精機


マグネシウムは地球で6番目に多い元素だそうだ。地殻の4分の1はマグネシウムで形成されており、海水にも含まれるため、資源として枯渇することはないという。しかもアルミよりも軽く、強度はアルミより優れ、リサイクル性にも優れている「良いことずくめ」の金属だ。しかし産業用として注目されたのはそう遠い昔ではない。マグネシウムは精錬が難しかったため、その活用はアルミに比べ遅れてしまったらしい。熱還元法や電解法が利用できるようになり、本格的に民生に用いられるようになった。山野井精機(茨城県つくばみらい市)はマグネシウム加工の研究に心血を注いでいる。

茨城には県などの音頭取りでスタートした「茨城マグネシウムプロジェクト」がある。マグネシウム関連産業を茨城の主力産業に育てようというプロジェクトだ。オリジナルな加工技術などを開発することで他県よりも優位に立とうという狙いだ。茨城に拠点を置く企業を中心に世界的なビッグカンパニーから中小製造業者まで約60社近くが参加し連携体を形成している。同社は金型やプレス加工を得意とするものづくり企業だが、このプロジェクトを知り2005年に参加した。

マグネシウムは加工も難しく、未だ技術が十分に確立されていない分野だ。ただ、技術が確立できれば自動車用構造材やノートパソコン、携帯電話の筐体など用途は多岐にわたる。同社は「人に喜ばれる製品づくりを目指し、よりよい加工方法と精度を追求していく」(山野井周一社長)考えを貫いている。県の補助金を受けながらマグネシウム加工のデータを収集してきたのも「人に喜ばれるもの」に仕上げるための準備ともいえる。

これまでの成果をもとに、茨城県工業技術センターなどと連携し軽金属の板鍛造と超塑性などマグネシウムの周辺技術を調査、最終的に「難加工材の3次元精密順送プレス技術の開発」という計画名でものづくり基盤技術高度化法の対象に認定された。「まだ第1歩」(山野井社長)だが、マグネシウム加工へ確実に前進している。

同社の場合、金属加工を手がけており、たまたま地元の産官学のプロジェクトに出会ったこと、それが今後の主役になる素材の研究だったことなどが、マグネシウムの研究開発に力を入れるきっかけとなった。ものづくり基盤技術高度化法など国の制度や施策を知らない中小企業は多くある。制度を利用することで新たな飛躍につながるケースも多い。同社が事業認定最終年にどのような成果を得られるか楽しみだ。
                


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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