ヤマトミシン製造株式会社
■伝統は技術の宝庫
業種:ミシン製造業
ヤマトミシン製造株式会社
繊維王国ニッポンというと過去の栄光の代名詞のようにとられがちだ。どっこい、歴史ある産業だけに、世界が求めるミシン技術はなお多い。ヤマトミシン製造株式会社(大阪市、近藤章吾社長)の「VGSシリーズ」はその典型だ。この技術無くして世界の繊維産業無しと言わしめる不可欠の技術だ。
歴史ある企業だ。発足1927年(昭和2年)。工業用ミシンメーカーとして誕生している。以来、わが国繊維産業の栄枯盛衰を身をもって体験してきた。繊維王国時代の日本ももちろん、頂点から後ずさっていく時代もまた渦中にあった。途上国の追い上げに象徴される世界的な繊維産業の構造変化に直面してきた。しかし、そのつど、同社がしぶとさを発揮したのは、工業用ミシンをルーツとする独特の縫製ミシン技術とその機械だ。最近の下着材料として伸びているストレッチ素材。主要国の女性(18−49歳)の約70%が、ストレッチ素材を定番としている流れをキャッチ、その縫製に欠かせない高度技術を同社は磨き続けてきたのだ。ストレッチ素材の縫製には、縫いずれやよじれが起こりやすいのが泣き所。素材の伸縮率を下げてしまうのだ。同社の新開発技術「VGS」はこれを克服し、しかも伸縮率を倍増するものだった。伝統の技術の中で宝の技術が磨きあげられたのだ。
もちろん伝統技術を磨き上げたのも成功の大きな要素だ。しかしそれにとどまらない。世界の縫製の需要変化に絶えず最新の目配りを怠ってこなかった情報収集力を同社では培って来た。さらに、編み機、自動裁断機、ミシンの3点セットを扱うので、布地の生産、裁断、縫製装置すべてを一貫して生産供給できる強みも持つ。加えて、世界の縫製メーカーに、これらの強みをバックにしっかり提案営業する力も備えている。ある縫製メーカーがすべてのサプライヤーに値下げを求めたことがある。しかし、ヤマトは唯一その要求に応じず、逆に、コストダウン可能な新技術を勧めたという。
繊維復活の試みが盛んだ。ヤマトの縫製機械技術の強さに学ぶ点は少なくないと見る。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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