(株)ゼロスポーツ
■“夢を叶えるクルマづくり”で活路を拓く!中小メーカーの挑戦
業種:自動車部品・電気自動車開発
(株)ゼロスポーツ
「社会に求められる企業でなければ存在価値はない。それを経営理念に、オリジナル性と環境対策指向の“クルマ”ニーズに応え、新市場を創造する」と自社の企業像を描くのは、自動車業界に参入し、自社ブランドの車を持つ「(株)ゼロスポーツ」(岐阜県各務原市、従業員40人)のリーダー、中島社長。
同社の創業は1989年。OA機器メーカーの販売員だった中島社長が独立し、自動車の小売からスタート。その後、自分の好みで改造したカスタマイズ車が欧米で売れているのを見て、日本にもアフターパーツの市場があると目論み、94年に実績のない自動車部品業界に参入。まさにゼロからスタートであった。
当時は、カスタマイズ車の部品と言うと、暴走族に直結するマイナスイメージが強かったため、走行性能を向上する部品であることをディーラーや警察などに説明する一方で、自社ブランドの高機能パーツの開発にも心血を注いだ。その製品が徐々にユーザーを広げ、現在では一部車種の純正部品にも採用され、約350品目の部品がディーラーやカーショップなどを通じて販売されるなど、同社の柱事業へと育っている。
これに加えて脚光を浴びているのが、同社の電気自動車(EV)事業。「環境対策のノウハウが乏しいのは大手自動車メーカーも同じ」と独自技術の開発を重ね、2000年には、日本最速の時速276.6kmを記録したEVを披露し、完成車メーカーとしての存在感を示した。今秋からは全長2.5m弱、重量わずか370kgのスポーツタイプの1人乗りEVを販売し始めた。家庭用のコンセントで8時間充電して70kmの走行が可能な点も話題を呼んでいる。今後はこのEV事業に社運をかける意気込みだ。
大手に対抗する同社の経営戦略は、「枠を越えた発想と技術によるクルマづくり」が基本だが、企画・開発・販売は自社で行い、製造は外部に委託する多品種少量生産の身軽さが強み。大手メーカーでは採算が合わない小ロットの製品を武器に、大手の関連工場と協力関係を結ぶことで高い技術力を活用するという方法も有効な戦略となっている。
自動車産業といえば巨大企業の市場と見られているが、時代を読み、ニーズを捉えれば、そこに中小企業の活路が拓かれ、また、求められる企業にもなることを、同社は実証してみせている。
著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン
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