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2012年の記事

 

 

 

ケーイーエフ(株)

■「腕時計のパッキンから成長一途」

業種:精密ゴム部品製造
ケーイーエフ(株)


パッキンやO(オー)リングなど精密ゴム部品を手掛けるケーイーエフ(株)(千葉県佐倉市)は、腕時計のパッキンメーカーとしてスタートした。昭和42年の設立で当時、防水仕様の腕時計は存在せず、ちょっとした水仕事にも腕時計を外すのが当たり前だった。だが、この常識を同社が変えていった。

伊与久義武社長は、小型のパッキンを精密に成型する要素技術をスイスの一流腕時計メーカーに持ち込み採用を打診した。腕時計業界はちょうど防水技術を探していた頃だった。「金型がないので彫刻家に彫ってもらった」という手探りの段階だったが、無事に採用にこぎつけた。このことが同社の技術が世界
に認められるきっかけとなった。このメーカーとは今も取引が続いている。

「パッキンが原因の防水不良は一度も起きていない。顧客は40年の歴史を買っている」と語る。現在では4000種類のパッキンと3000種類の金型を保有し、長年続く顧客との信頼関係を保っている。用途についても腕時計からコンピューター、自動車など幅広い分野の部品として使われている。

同社の技術上の「売り」はゴムの配合技術にある。ゴム製品で重要なのは反発力だ。防水、防塵、防振などの性能を発揮するには長時間反発し続けることが求められる。同社は天然ゴムや合成ゴムに5〜6種類のゴム薬品を混ぜ合わせてつくる。「入れる順番や混ぜ方、温度で"プロの味"になる」。そのやり方はもちろん門外不出の企業秘密。

平成19年には下請けの仕事を絶ち独立独歩の経営に転換した。このため当初、売り上げは約2割落ち込んだもののその後、新規顧客を相次ぎ獲得し順調に業績を伸ばしている。経済産業省・中小企業庁の平成20年「元気なモノ作り中小企業300社」にも選ばれた。今後、日本で材料を100%活用できる自動化技術を完成させ、そのあと各国のユーザーの近くに「ミニ工場」を展開するのが次の戦略だ。「職人技」ともいえる高度な独自技術が成長につながっている。


著作者:e-中小企業庁&ネットワーク
出典:中小企業ネットマガジン


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