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NTT西日本事件

(京都地裁平成13年3月30日判決)

 

労働基準監督署に対する就業規則の届出は、就業規則の効力発生要件ではなく、使用者が就業規則を作成し、従業員一般にその存在及び内容を周知させるに足る相当な方法を講じれば、関係当事者を一般的に拘束する効力を生じるとした。

 

【事案の概要】

 

Yは、国内電気通信事業を営む株式会社、Xらはその従業員であるが、Yは、平成9年4月に就業規則を変更し、年度末年齢が55歳となる副参事管理職を、特別職群に移行させるという特別職群制度を創設した。Xらは特別職群制度の導入に伴い、特別職の発令を受け、これに伴って賃金が減額された。

 

なお、Yは、本件就業規則の変更に際して、これを労働基準監督署へ届け出ていなかった。

 

【判決の要旨】

 

労働基準監督署に対する就業規則の届出は、就業規則の内容についての行政的監督を容易にしようとしたものに過ぎないから、届出は就業規則の効力発生要件ではなく、使用者が就業規則を作成し、従業員一般にその存在及び内容を周知させるに足る相当な方法を講じれば、就業規則として関係当事者を一般的に拘束する効力を生じると解すべきである。(中略)

 

Yは、本件就業規則の変更による特別職群制度の導入について、説明会や勉強会を開催したり、同制度の概要を記載した書面を配布するなど、副参事を含む管理職に対して周知させるよう努力しているものといえ、本件就業規則の変更について関係当事者に対して周知させるに足りる相当な方法を講じたものといえる。

 

よって、本件就業規則の変更につき、手続違反を理由とする無効事由があるとはいえない。