入社後すぐに年金保険料を追納するべき  (2003年9月号より抜粋)  
     
 

入社後すぐに保険料を追納しないと年金の給付面で不利益を受けますか?

 

Q

今年の新入社員から、ボーナスが出たら学生時代の年金免除分を払っておいたほうがよいか、と聞かれました。勉強不足で、とっさにうまい答を返せませんでしたが、早めに追納しないと、何か大きな不利益があるでしょうか。

 

 
 

A

学生でも、20歳になれば国民年金に加入し、保険料を納めなければなりません。しかし、通常は学生本人の収入が少ないため、免除を申請します。結果として、大卒新入社員の年金加入歴は、20歳以降入社までが国民年金(ただし、全期間保険料免除)、入社以降数力月が厚生年金という内訳になります。

この状態で、ケガ、死亡等の保険事故が生じたとき、給付を受けられるか否かが問題です。

受給権を得るためには、被保険者期間を通じ、原則として保険料納付済期間、免除期間が3分の2以上あることが条件になります。

仮に学生が保険料免除の申請を受けていなければ、その期間は未納期間になるので、入社後すぐに保険事故が生じた場合、問題が生じます。しかし、免除の申請をしている限り、保険料納付済期間と合算して納付要件をみるので、心配は入りません。

たとえば、重い傷病で障害等級に該当するような障害が残っても、障害厚生年金・障害基礎年金(3級は障害厚生年金だけ)を受けられます。

免除された保険料は、10年間に限って追納(過去にさかのぼって保険料を納めること)が可能です。学生時代の免除期間は、将来的に老齢厚生・基礎年金の受給権を判定する場合、合算期間に含まれず、年金額にも反映されません。このため、「ボーナスで追納した方が良いか」という質問が出てきたわけです。

しかし、今すぐ追納しなくても大きな不利益は考えられません。「他の必要出費を考慮しながら、10年以内で計画的に納める」ことが大切です。

追納すれば、普通の保険料納付済期間とまったく同じ扱いで、年金額も増えます。

 

 
  労務相談と判例> 厚生年金、国民年金の相談

Copyright (C) 2003 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所