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平成19年9月からの年金の分割(2006年12月号より抜粋) | |
妻から請求があれば本当に夫の年金は半分になるのでしょうか? |
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Q |
平成19年9月から、年金の分割制度がスタートすると聞きます。定年間近の男性杜員同士は、「君のところは大丈夫?」などと冗談を言い合っています。現実に分割請求があった場合、本当に男性の年金は半分に減ってしまうのでしょうか。 |
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分割の対象は結婚期間のみ ひとくちに年金の分割といいますが、法律的には2種類の規定が存在します。来年4月に施行されるのは、このうち「離婚等をした場合における特例」(厚年法第3章の2、第78条の2から第78条の12まで)と呼ばれるものです。 夫婦が共働きで、2人ともに老齢厚生年金の受給権が発生しても、夫の方が高収入なので年金も高いのが一般的です。そのとき、妻(夫の場合もあり得ます)が「あなたの年金が高いのは、私の内助の功があったから」と主張して、年金の分割を求めるわけです。 年金の按分割合は、夫婦間の合意、または裁判所の決定に基づき定められます。分割する年金は老齢厚生年金(結婚していた期間に関する部分のみ。妻の取り分が、当該期間に対応する2人の年金額合計の2分の1を超えることはできません)だけで、老齢基礎年金は対象外です。 「離婚等をした場合における特例」については、平成19年4月以前の離婚は対象になりませんが、分割の対象期間には19年4月前の期間も含まれます。 平成20年4月からは、「被扶養配偶者である期間についての特例」(厚年法第3章の3、第78条の13から第78条の21まで)と呼ばれる制度がスタートします。 こちらは、夫(妻)がサラリーマン、妻(夫)が専業主婦(主夫)というパターンを想定しています。 この場合、夫は老齢厚生年金(+老齢基礎年金)をもらい、妻は老齢基礎年金のみを受給します。夫婦2人で力を合わせ、一つの家庭を支えてきたのに、年金面では大きな差が生じます。この年金格差を是正するのが狙いです。 具体的には、夫が厚生年金の被保険者で、妻がその被扶養者として第3号被保険者だった期間(これを特定期間といいます)について、夫の老齢厚生年金の2分の1を妻に与える形を採ります。 特定期間に関しては、夫の標準報酬月額・賞与額が2分の1に減らされ、妻がその標準報酬月額・賞与額で厚生年金に加入していたとみなされます。 分割の対象になるのは、2人が結婚して、妻が専業主婦だった期間に対応する老齢厚生年金だけです。結婚前の期間、妻が共働きしていた期間について、分割は行われません。老齢基礎年金も、対象外です。ですから、夫の年金を完全に2分割して、妻に与えるわけではありません。 「被扶養配偶者であった期間に関する特例」の場合、平成20年4月前の期間は「特定期間」に算入されません。 当面、「専業主婦の逆襲」に関しては、マスメディアがはやし立てるほど妻が有利ともいえないようです。
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