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厚生年金の長期加入者の特例 (2008年6月号より抜粋) | |
満額年金をもらえるはずの長期加入者が再雇用されたら在職老齢は? |
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Q |
中卒入社で、定年間近の社員がいます。熟練技能の保有者で、なんとか継続雇用したいのですが、年金問題がネックとなっています。「長期加入者の特例」が適用される人の場合、在職老齢年金の計算はどうなるのでしょうか。 |
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A |
一般の受給者と同様に減額される これから60歳定年を迎えるのであれば、昭和23年度の生まれになります。一般の男性の場合、60歳以上64歳未満の期間については、報酬比例部分のみが支給されます。64歳到達後、はじめて定額部分(+対象者がいれば配偶者加給年金額)も含めた満額の年金を受け取れます。 しかし、障害者・長期加入者に関しては、支給開始年齢の引き上げを一定期間猶予する特例が設けられています。長期加入者の場合、厚生年金保険の被保険者期間が528ヵ月(44年)以上あることが要件になります。 昭和23年度に生まれた男性の場合、60歳から64歳になるまでの間も、満額の年金をもらえます。 中卒で入社した人は、15歳数カ月で厚生年金に加入します。その後、ずっとサラリーマン生活を続け、60歳に達すれば、厚生年金被保険者期間44年以上という要件を満たします。お尋ねの方も、このケースに該当します。 高年齢者雇用安定法では、平成19年4月1日から平成22年3月31日までの間は、最低63歳まで継続雇用するための措置を講じるよう求めています。しかし、ご本人が希望しなければ、定年で退職してもなんら問題ありません。ご本人の意思次第です。 そこで、年金の水準が問題になるわけですが、定年後、厚生年金の被保険者として引き続き就労すると、「長期加入者の特例」は適用されなくなります。再就職後の賃金水準(総報酬月額相当額)と満額の年金を基準として、在職老齢年金の額が計算されるわけではありません。 一般の再雇用者と同様、定額都分と加給年金額は全額支給停止となり、報酬比例部分のみが計算のベースになります。 つまり、44年間、厚生年金の被保険者だったメリットを享受できないという結論になります。 どうしても、働きながら満額の年金を受け取りたいのであれば、「被保険者にならない勤務パターン」を選択するほかありません。「1日または週の所定労働時間を正社員の4分の3未満」に設定するか、「1月の勤務日数を正社員の4分の3未満」に抑えるか、いずれかの方法を取る必要があります。 お尋ねの方は、高度の熟練技能の保有者で、ノウハウの伝承という観点からも、「フルタイム」の勤務がベストなのではないでしょうか。 そうであれば、年金面の目減りについては、再雇用後の賃金を高めに設定する等の代替案を検討すべきでしょう。 今後、継続雇用の最低年齢が引き上げられるにつれ、高年齢者の戦力化が課題となります。その意味からも、実力主義賃金の導入を急ぐべきだといえます。
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