加給年金の支給停止の条件 (2008年12月号より抜粋)  
     
 

妻の給料が高くて年金がストップしたとき夫の加給年金は?

 

Q

当社従業員は、現在、在職老齢年金を受けながら働いています。この者の妻が、まもなく自分の老齢厚生年金の受給開始年齢に達しますが、給与水準が高いので、年金は全額ストップするとみられます。この場合、夫である従業員の加給年金額はどうなるのでしょうか。支給停止の対象になりますか。

 

 
 
 

妻の年金が全額支給停止ならカットなし

老齢年金の受給権者に、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるときは、加給年金額が加算されます(厚生年金保険法第44条)。ただし、配偶者が将来にわたって850万円以上の収入を得られるときば、生計維持関係にあると認められず、加給年金は支給されません。

対象となる配偶者がいれば、働いていて在職老齢年金の対象になる場合も、本体の年金が全額ストップにならない限り、加給年金額は調整ナシで支払われます。

しかし、パンフレット等をみると、配偶者が「老齢厚生年金等を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止になる」と解説されています。それでは、奥さんが老齢厚生年金の支給開始年齢に到達したけれど、在職老齢の仕組みにより、全額支給停止となったときは、どういう扱いになるのでしょうか。

支給停止に関しては、厚生年金保険法第46条第4項に規定があり、「老齢若しくは退職または障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの支給を受けることができるとき」が対象になると定めています。ここでいう政令とは、厚年令(厚生年金法施行令)第3条の7を指します。

同条では、対象となる「政令で定めるもの」の第1号として、「老齢厚生年金(被保険者期間240月以上、中高齢の特例対象者等)及び障害厚生年金等」が挙げられています。

しかし、同条本文ただし書きで、「その全額につき支給を停止されている給付を除く」とあります。ですから、奥さんの年金が全額支給停止の間は、夫の加給年金額に影響は及びません。

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