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遺族厚生年金と老齢厚生年金の併給調整 (2010年3月号より抜粋) | |
妻の死亡で夫が遺族年金を請求したいというが上乗せで受給可能か? |
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Q |
67歳の方が、嘱託で働いています。最近、奥さんが亡くなりましたが、奥さんはずっと働いていて、老齢厚生年金の金額も少なくなかったという話です。「遺族厚生年金を申請できないか」と相談されましたが、そんなことが可能なのでしょうか。 |
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A |
自分の老齢厚生年金が優先されて支給される 遺族厚生年金は、被保険者、被保険者だった人に生計を維持されていた一定範囲の家族に支給されます。遺族の支給順位は次のとおりです。
妻は年齢に関係なく遺族になります(失権に関しては年齢要件あり)が、夫、父母、祖父母は55歳以上、子供や孫は18歳の年度末まで(1、2級障害は20歳未満)という年齢条件が付されています。 お尋ねの方は、夫ですから支給順位は1位です。55歳以上という年齢要件も満たす(支給は60歳から)ので、夫婦で生計を一にし、年収850万円未満の基準を満たせば、遺族厚生年金の対象になります(年輪条件を満たす子がいれば夫は支給停止)。 しかし、お尋ねの方はすでに自分の老齢厚生年金・基礎年金を受給しているのですから、単純に上乗せで遺族厚生年金を受け取れるわけではありません。 平成19年4月から法律が改正され、現在、65歳以上の人が老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権を持つ場合、老齢厚生年金が優先する規定となっています。厚生年金保険法第64条の3では、「遺族厚生年金の受給権者が老齢厚生年金等の受給権を有するときは、老齢厚生年金等の額に相当する部分の支給を停止する」と定めています。フルの遺族厚生年金が老齢厚生年金の額を上回るとき、その差額を遺族厚生年金として支給するのが原則です。 ただし、65歳以上の人が「配偶者」の場合には次の措置の対象となります。 まず、次のA、Bの額を算定します。 A:フルの遺族厚生年金の額=妻の報酬比例の年金額の4分の3に相当する額 A、Bのうち高い方の金額と老齢厚生年金の差額が、遺族厚生年金として支給されます。お尋ねの方は、老齢基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金(差額)を申請できる可能性があります。 ただし、男性がずっとサラリーマンとして働いてきた場合、自分の老齢厚生年金の額が妻の遺族厚生年金を上回るのが一般的です。前記の特例をあてはめても、差額が発生する可能性は低いでしょう。 仮にそうだとすれば、遺族厚生年金の権利を得たとしても、その方が受け取れるのは老齢基礎・厚生年金だけとなり、金額に変わりはありません。
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