60歳以降の第2号被保険者の扱い (2010年10月号より抜粋)  
     
 

60歳定年で再雇用されたが国民年金の被保険者資格はどうなるか?

 

Q

定年後、嘱託になる社員から質問を受けました。引き続き厚生年金に加入しますが、国民年金の資格はどうなるのでしょうか。ご本人は、「国民年金の被保険者でなくなり、その分、保険料も安くなるはず」というのですが、そんなことがあるのでしょうか。

 

 
 
A

60歳以降の第2号被保険者期間は合算対象期間(カラ期間)となる

サラリーマン(被用者年金の被保険者)は、同時に国民年金の第2号被保険者になります。第1号、第3号被保険者は60歳に到達すると被保険者資格を喪失しますが、第2号被保険者資格はそのまま継続します(国民年金法第9条第3号)。

しかし、60歳に達すると、年金計算上の扱いが変わります。「第2号被保険者としての国民年金の被保険者期間のうち、20歳に達する日の属する月前の期間および60歳に達した日の属する月以後の期間は、合算対象期間とする」と規定されています(国民年金法昭60附則第8条第4項)。

合算対象期間は、別名「カラ期間」ともいいます。合算対象期間は25年の資格期間の計算には含めますが、老齢基礎年金の額には反映されません。60歳以降、加入期間が増えても、年金の増額にはつながらないので、60歳以降は国民年金の被保険者でなくなると短絡的に考える人もいるようです。しかし、被保険者資格自体は存続しているのです。

第2号被保険者は、厚生年金の保険料を納めるだけで、国民年金保険料の納付義務はありません。しかし、厚生年金保険の財源からは、基礎年金拠出金という形で国民年金の費用を拠出しています。「年金が増えないのなら、基礎年金拠出金に相当する分、保険料を安くしてもよいはずだ」というのも一つの理屈です。

しかし、ご承知のとおり、60歳未満の人と60歳以上の人の保険料率は同じです。不公平な感じもしますが、60歳以降、働いた分は、厚生年金の経過的加算(40年で頭打ち)に反映されます。報酬比例の老齢厚生年金だけでなく、経過的加算の額も増えていきます。

▲画面トップ

 

 
  労務相談と判例> 厚生年金、国民年金の相談

Copyright (C) 2010 Tokyo Soken. All Rights Reserved

東京労務管理総合研究所