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継続雇用と年金の支給繰り下げ (2011年9月号より抜粋) | |
高齢者を継続雇用する際に「年金の支給繰下げ」のメリットは? |
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Q |
まもなく65歳に到達する社員がいますが、「余人に代え難い」人材なので、高給で継続雇用する方向で話し合っています。65歳以降も、在職老齢年金の適用で、年金をほとんど受け取れません。本人には「年金の繰下げ」を勧めようかとも考えていますが、どの程度のメリットがあるのでしょうか。 |
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A |
高報酬の者は年金の繰り下げの恩恵が少ない 「60歳代前半の在職老齢年金」と「65歳からの在職老齢厚生年金」は、計算式が異なります。「65歳からの在職老齢年金」の計算式はシンプルで、次のとおりとなっています。 支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額−46万円)×0.5×12 総報酬月額相当額=標準報酬月額+1年間の標準賞与額÷12 基本月額=老齢厚生年金(経過的加算、加給年金額除く)÷12 60歳代前半と比べれば、支給停止となる額は少なくなります。それでも、報酬(賞与含む)、年金額が高くなれば、ある程度の金額カットは避けられません。 そこで、引き続き就労し、在職老齢年金の対象となっている期間について、「年金の受給を繰り下げたらどうか」という発想が生じます。 繰下げ受給をすれば、年金額が上積みされます。退職後、増額された年金をそっくり満額受け取れれば、それがベストです。 実際、以前はそうした形で、繰下げを選択する人が少なくありませんでした。しかし、老齢厚生年金の繰下げ制度は、いったん、廃止された後、平成19年から、新しい仕組みがスタートしました。新制度では、繰下げを申請した期間、どれだけの収入があったかも考慮して、年金額を調整する仕組みが導入されています。 65歳に達した人が、1年間、年金の繰下げを選択したとします。その人が66歳に達するまでの間、無給、または在職老齢年金の対象にならないレベルの収入しか得ていないとします。 その場合、1月当たり0.7%の割合で、繰下げ後の年金が増額されます。1年なら、0.7%×12ヵ月=8.4%になります。 しかし、その人が66歳に達するまでの間、在職老齢年金の適用を受けるレベルの収入を得ていたとします。この場合、在職老齢年金の仕組みにより「支給停止となったであろう分」を基準として、増額率が調整されます。 煩雑な計算式は省きますが、イメージ的には、増額率は1月当たり0.7%ではなく、0.7%×支給停止額÷本来の年金額となります。仮に、年金の2分の1がカットの対象になるとします。 つまり、支給停止額÷本来の年金額=0.5となります。その人の1月当たりの増額率は、0.7%×0.5=0.35%です。 1年間繰り下げると、0.35%×12ヵ月=4.2%ですから、年金の増額率は4.2%となります。 支給停止額が多ければ多いほど、年金の増額率は小さくなるので注意が必要です。
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