20歳前の傷病と障害年金 (2017年6月号より抜粋)  
     
 

成人前のケガで障害が残りそうな従業員がいるが障害年金は大丈夫か

 

Q

高卒で入社して間もない従業員が、事故で大ケガをしました。仮に障害が残った場合、障害年金の扱いはどうなるのでしょうか。国民年金の方で、「20歳前の傷病」について、特別な規定があったように記憶します。20歳以降と何が異なるのでしょうか。

 

 
 
A

すでに被保険者なので問題なく受給できる

ご質問の方は、正社員入社で厚生年金に加入されているはずです。年金保険料の未納期間等もありませんから、被保険者期間中に初診日のある傷病で3級以上の障害等級に該当すれば、障害厚生年金の対象になります。

厚生年金の被保険者は、同時に国民年金の第2号被保険者でもあります。ですから、障害等級2級以上に該当すれば、障害基礎年金の受給権も取得します。

確かに、国民年金には「20歳前に初診日がある場合の障害基礎年金」に関する規定が存在します(国年法第30条の4)。

学生等については、20歳に達した時点で国民年金の第1号被保険者となります。障害基礎年金は、原則として初診日に次のいずれかに該当する人が、一定の保険料納付要件を満たす場合に支給されます(国民年金法第30条)。

  1. 被保険者であること

  2. 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、60歳以上65歳未満であること

まだ国民年金に加入していない人は、@Aのいずれにも該当せず、第30条の規定に従えば、年金の権利が発生しません。しかし、障害状態にあれば、20歳に達した後も就労等が困難です。

このため、20歳前で被保険者でなかった人であっても、20歳に達した時点(または20歳到達後の障害認定日の時点)で障害等級2級に該当すれば、障害基礎年金を支給するという特例が設けられているのです。ただし、収入によっては支給額の減額・停止が行われます。

お尋ねの方は、既に働き始めていて、国民年金の資格も有するので、通常の障害基礎年金を受給できます(支給制限はありません)。

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