被保険者期間の上乗せ (2018年10月号より抜粋)
短時間勤務選択の再雇用者から年金額を増やしたいと相談受ける!?
Q 60歳定年で嘱託再雇用となった従業員がいますが、本人希望により短時間勤務制を適用します。当社は500人以下なので、社会保険には未加入です。しかし、本人は将来受け取る年金額を増やしたいので、何とか年金だけ加入できないか」といいます。そのような方法があるのでしょうか。
A 国年の任意加入検討を
まず、紛らわしい名称ですが、厚生年金に高齢任意加入被保険者という制度があります.これは、フルタイムに近い働き方をする人が、「70歳」に到達した時点で、老齢年金の資格を取得していない場合の特例です。
お尋ねの方は70歳未満で、被保険者になれない理由は、勤務時間が短いためです。
こうしたケースで考えられるのは、国民年令の任意加入です。
たとえば、次のような人が対象になります(国年法附則5条)
- 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者
- 日本国籍を有する者等で日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満のもの
任意加入すれば保険料納付済期間が延びますが、そのメリットは2種類あります。
第1に、60歳到達時点で老齢年金の資格期間(10年)を満たさない人は、年金の受給権を得ることができます。第2に、既に受給権を得ている人も、年金の受取額を増やすことができます。申請は、市区町村の窓口等で行います。
ただし、任意加入者が次のいずれかに該当するときは資格を疫失します(4①は翌日、②~⑤は当日)。
①死亡したとき
②65歳に達したとき
③厚年の被保険者資格を取得したとき
④資格喪失を申し出たとき
⑤保険料納付済期間等の合計が480月に達したとき
定年までずっとサラリーマン等で保険料納付済期間が40年(480月)に近いときは、せっかく任意加入しても、すぐに資格を喪失する結果となります。