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遺族年金の受給資格 (2019年2月号より抜粋)

難病抱える従業員が退職を考えているが家族に残す年金に影響は?

 

Q 大病を患った従業員がいて、現在は、職場復帰しています。健康面で不安が残り、「家業を手伝う」形で退職することも考えていますが、「自分に万が一のことがあった場合、会社に在籍していた方が、年金面で有利なのではないか」という点が気がかりだといいます。退職すると、不利を被るのでしょうか。

 

A 
国年の被保険者期間も通算

 

ご質問者の年齢が分かりませんが、鶴退職した後は国民年金の第1号被保険者になるという前提で考えてみましょう。

遺族基礎年金は、配偶者と子ども(原則18歳に達した後の年度末まで)または子ども(同)のみが残された場合に支給されます(生計維持要件もあり)。第1号被保険者である期間中に死亡すれば、基礎年金の方は問題なしです(国年法第37条)。

心配なのは遺族厚生年金の方です。「退職により遺族厚生年金の上乗せがなくなる」か否かは、金額的には大きな問題です。

遺族厚牛年金は、被保険者の死亡以外、次の要件を満たせば支給されます(厚年法第58条)。

①厚生年金の被保険者期間中に初診日がある傷病により初診日から5年以内に死亡

②1級または2級の障害厚生年金の受給権者が死亡

③老齢厚生年金の受給権者または保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間を合わせ25年以上ある人が死亡ご質問者は、厚年の被保険者期問中に病気にかかっているので、①の要件により受給できる可能性があります。

5年経過後であっても、国民年金の被保険者期間が増えることで、③の要件を満たせば、受給権を得られます。なお、老齢厚生年金の受給資格期間は10年に短縮されましたが、遺族の方は25年のままなので注意が必要です。

もちろん、退職せずに済めば、それが一番です。現在の被保険者期間の長さ、健康状態等を考慮して、最終的な決断をされるようアドバイスしてあげてください。