派遣社員がセクハラされた  (2003年3月号より抜粋)  
     
 

派遣社員がセクハラされたら受入企業に管理責任が生じるのでしょうか?

 

Q

当社では、女性の派遣社員を受け入れていますが、同僚女性の話によると、男性管理職がしっこく食事に誘うなど、セクハラまがいの行為を繰り返しているようです。派遣社員から、仮に苦情の訴えがあれば、会社として対応する義務がありますか。

 
   

A

労働者派遣について話を整理すると、派遣元と労働者の間には雇用関係がありますが派遣先は指揮命令権を行使するに過ぎず、直接の雇用契約は結んでいません。セクハラの防止義務は事業主に課せられていますから、形式的には、派遣労働者は派遣元に訴えるしかないという結論になりそうです。

しかし、現実に就労しているのは派遣先の事務所ですし、作業の指揮命令や管理業務を行っているのも派遣先です。派遣先が目を光らせなければ、セクハラ防止の実は上がりません。このため、派遣法では、セクハラに関する特例を設けています。具体的には、派遣法第47条の2で、「派遣労働者の役務の提供を受ける者もまた、派遣労働者を雇用する事業主とみなして、均等法の規定を適用する」と定めています。

派遣先だけが全ての責任を負うわけではありませんが、事業主として必要な措置は講ずる義務があります。

事業主のセクハラ防止義務は、セクハラ防止指針に定められていますが、派遣法の特例適用に関しては、次のような通達が出されています。

貴社では、現下のところ、苦情への対応が問題になっているので、それに該当する部分だけを抜粋します。

「相談及ぴ苦情への対応 派遣先の事業主は、セクハラ防止指針3の(2)にのっとって、派遣労働者についても必要な配慮をしなければならないこと。なお、派遣元の事業主が必要な配慮をしていると認められる例としては、例えば、自ら使用する労働者同様に派遣先事業場に派遣した派遣労働者等からの相談・苦情についても対応することができる体制を整えておく等の措置を講ずることが挙げられること」

セクハラ防止指針3の(2)では、次のように定めています。「事業主は、相談・苦情への対応へのための窓口を明確にすることについて配慮をしなければならない。

(具体例)

(1)相談・対応に対応する担当者をあらかじめ定めておく

(2)苦情処理制度を設ける

また、事業主は、相談・苦情に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応することについて配慮をしなければならない。

(具体例)

(1)相談・苦情を受けた場合、人事部門との連携等により円滑な対応を図ること

(2)相談・苦情を受けた場合、あらかじめ作成したマニュアルに基づき対応すること」

派遣労働者が派遣元に相談すれば、会社として当面は対応を免れますが、派遣先に話が持ち込まれた場合、放置は許されません。

 

 
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