傷病手当金は増額されるか?  (2003年6月号より抜粋)  
     
 

自己負担割合があがったが、ボーナスは給付に反映されないのでしょうか?

 

Q

4月から、健康保険の自己負担額が一律3割に引き上げられました。ケガ・病気が重い場合、家計への打撃大です。総報酬制がスタートしたのですから、ボーナスを基礎に傷病手当金も増えないのでしょうか。

 
   

A

月に2、3度、ちょっとした薬をもらうだけの人でも、1.5倍の負担増は痛手です。まして・会社を休むような重い病気・ケガの人にとっては、泣くに泣けません。

総報酬制では、月給だけでなく、ボーナスにも同じ保険料率が適用されます。ボーナスは金額が大きいだけに、1回に払う保険料も高額です。

高い保険料を払うんだから、その分、傷病手当金も増えないか、というご質問ですが、今回の改正では・傷病手当金に関し、本質的な改定はありません。4月以降も、「標準報酬日額の100分の60に相当する金額を支給する」という規定がそのまま適用されます。

労災保険では、1年間に支払われたボーナスを算定基礎日額として、労働福祉事業から一定の金額が支給されます。これをボーナス特別支給金といいますが、こうした補助的な仕組みがあると、ボーナスの多い従業員はそれに見合った給付を受けることができます。

厚生年金では、総報酬制導入に合わせ、払い込んだ保険料に比例して金額が増減する形の計算式が新たに導入されています。ボーナスの多い人は、払う保険料が多い分、将来受け取る年金額も高くなります。ですから、傷病手当金に関しても同種の工夫を凝らす余地がなかったわけではありません。

ボーナスに応じた傷病手当金を単純に従来の傷病手当金に上乗せすることは・財政的に不可能でしょう。

しかし、ボーナスを含めた年収比例で手当金を決定する仕組みなら導入できたはずですが、結果的には、従来の仕組みをそのまま踏襲する方針が取られています。これは、政策的な判断というほかありません。

 

 
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