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出勤率の悪いパートの平均賃金 (2003年8月号より抜粋) | |
出勤率の悪いパートの平均賃金を計算するとき欠勤分が反映されますか? |
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Q |
受注量の減少で、パートの一部を休業させることになりました。法律どおり休業手当を支払うつもりですが、パートの一人について疑問があります。日頃から勤務態度に問題があり、もちろん年休の八割出勤の要件も満たしていません。このパートの平均賃金を算定する場合、自己都合欠勤部分を除外できますか。 |
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A |
相手がパートでも、所定労働日と定めていた日を会社都合で休業にすれば、休業手当の支払義務が発生します。休業手当の金額は「平均賃金の100分の60以上」です。時給制のパート等の場合、平均賃金の算定には、最低保障の特例があります。 通常どおり、3ヵ月の賃金総額を3ヵ月の総歴日数で割って平均賃金を計算すると、出勤日数が少ない場合、著しく額が低くなるおそれがあるからです。最低保障の額は、「賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した額の100分の60」です。最初に書いた暦日数方式で算出した平均賃金額と、最低保障の額を比べ、どちらか高い方が、その人の平均賃金となります。 平均賃金は、平均賃金を用いるべき事由が発生した日の直前の賃金締切日を基準とします。 休業手当の場合、「事由が発生した日」とは休業開始日を指します。休業の初日がたまたま賃金締切日に当たっているときは、1カ月さかのぼった直前の賃金締切日を基準として3ヵ月を区切ります。休業が始まる前に、賃金計算を締め切ったけれど、まだ賃金をきちんと計算して支払っていないという場合、実際の支払日は関係ありません。あくまで締切日が事由発生日の前か後かをみて、判断します。 お尋ねのパートさんの所定労働日数が多いときは、たとえ欠勤日が多少あっても、100分の60の最低保障より、通常の計算方法で算出した平均賃金額の方が高いでしょう。この場合、欠勤分は平均賃金額にきちんと反映されます。 つまり、3ヵ月間の総賃金額は欠勤控除した後の額を用いますが、総暦日数は変わりません。結果として、平均賃金の額は他の出勤率良好なパートさんと比べて、安くなります。 しかし、所定労働日数が少ないと、最低保障が適用される可能性が強くなります。この場合、3ヵ月の総賃金額を所定労働日数(出勤が義務付けられた日数)で割ることはできません。「その期間中に労働した日数」とは、現実に出勤し、賃金を受け取った日数を指します。 ですから、自己都合欠勤が多い人の場合、賃金は小額となりますが、「その期間中に労働した日」も同様に少なくなります。分子だけでなく、分母も小さくなるので、その人の最低保障額は、他のパートさんと同レベルという結果が出ます。欠勤は、平均賃金額に影響しないのです。 通常の計算式による場合には、お尋ねのように「欠勤部分を除外する」形になりますが、最低保障が適用されるケースでは、そういう扱いはできません。
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