健康保険の被扶養者の要件  (2003年12月号より抜粋)  
     
 

妻の実家が廃業したので両親を健保の被扶養者にできないでしょうか?

 

Q

従業員の妻の実家は、これまで小売店を営んでいたのですが近くに大型店ができたあおりで廃業してしまいました。そこで両親を健保の被扶養者にしたいと相談がありましたが可能でしょうか。まだ50歳代で2人とも十分働ける年齢です。

 

 
 

A

妻の両親は、これまで自営業を営んでいたので、国民健康保険に加入していたはずです。店の廃業で無収入となったので、子供の被扶養者になれないかとお考えになったようです。

健保の被扶養者に、直接、年齢要件はありません。60歳以上と未満とでは、本人収入がある場合の基準に違いがあります(60歳未満は年収130万円未満、以上は180万円未満が要件)が、50歳代だから被扶養者になれないということはありません。

しかし、被扶養者になれる親族には、2とおりのグループがあります。

第1は、生計維持関係があれば、直ちに被扶養者となれる近親者(直系尊属や子など)。第2は、生計維持関係だけでなく、同一世帯であることも条件のそれ以外の親族(六親等以内)です。

妻のご両親は、このうち第2のグループに属します。店をたたむ前、2人は自活されていたと思います。無収入になったからといって、直ちに子供の被扶養者になるわけではありません。2人が、従来の貯金を切り崩して、生活するような場合には、生計維持関係にないとみなされます。

これから先、被保険者である妻の夫が、2人の生計維持の中心的役割を果たす形で仕送り等する場合に限り、生計維持関係にあると認められます。

妻の両親の場合、さらに同一生計に属するという条件も満たす必要があります。現在は、廃業した店舗あるいはその近くにお住まいのはずです。そちらでの生活にキリをつけて、従業員(被保険者)及び妻と同居という状態になって、はじめて健保法上の被扶養者の要件を満たします。単に妻の両親というだけでは、手続きを取れないのです。

 

 
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