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同一会社の別工場間を移動中の事故と労災(2004年10月号より抜粋) | |
同一会社の別工場間を移動中の事故は業務上の災害と認められるか |
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Q |
現在、通勤災害制度を見直して、ダブルワーカーが第1の事業場から第2の事業場に移動する間も、「通勤災害扱い」する方向で、議論が進んでいると聞きました。当社は、2箇所に工場を持っていて、安全や保全担当者が両工場間を移動するケースが少なくないですが、その途上の災害はどうなるのでしょうか。 |
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A |
外勤者と同様に処理 通勤とは、「住居と就業の場所との間を往復すること」をいいます(労災保険法第7条第2項)。ですから、2つの会社に同時に勤めている人が、2つの事業場間を移動する行為は、現行法では、通勤に該当しません。 改正案では、第1の事業場から第2の事業場への移動は、第2の事業場の保険を使って処理する方針です。 しかし、お尋ねのケースでは、同一社内の2事業場で働いているだけで、2つの会社に所属しているわけではありません。ですから、一般の労災保険の考え方がそのまま適用されます。 仮にA工場に所属している人が、B工場に向かう途中でケガをしたとします。この場合、まずA工場に出勤し、その後、B工場の要請を受けて移動中だったとすれば、すでに業務を開始しているので、業務上災害という扱いになります。 B工場で仕事を終えて、A工場に帰社する途中も同じです。B工場の仕事をするといっても、出向等の手続きを経るわけではなく、A工場の命令を受けて業務を行うのですから、A工場の保険を使います。業務上災害ですから、メリット制の影響が及ぶのもA工場の保険です。 次に、前日に指示を受けて、朝、直接、B工場に向かう場合、その途上での事故は通勤災害になります。 考え方としては、外勤の営業社員が顧客のもとへ直接向かうのと同じです。B工場で仕事を終えて、直接、自宅に帰る行為も通勤です。このケースも、使用する保険はA工場のものです。ただし、通勤災害ですから、メリット制の適用はありません。
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