長期病欠と標準報酬月額の随時改定  
     
 

長期病欠で給与額が下がった社員は随時改定の対象?

 

Q

4ヶ月間病気療養のため欠勤した社員がいます。 その間の給与は、1ヶ月目は全額を支給し、2ヶ月目から4ヶ月目は、8割を支給しした。 この場合、月額変更の対象にはなるのでしょうか。 

 

 
 

A

結論から申し上げますと、標準報酬月額は改定されません。

月額変更の対象となるのは、下記3点をいずれも満たした場合です。
1つでも欠ければ改定の対象とならないのです。
  1. 昇給や降給で固定的賃金に変動があった
  2. .変動月以後3ヶ月とも賃金の支払い基礎日数が20日以上ある(平成18年7月1日より17日以上に改正されます)
  3. 変動月から3ヶ月間の報酬の平均額と現在の標準報酬月額に2等級以上の差がある

ご相談のケースは、1の固定的賃金の変動に該当しません。固定的賃金に変動があったとは下記のようなことをいいます。

  • 昇給(ベースアップ)
  • 降給(ベースダウン)
  • 給与体系の変更
  • 固定的な手当ての支給額の変更
  • 基礎単価(日給や時間給)や歩合率の変更

なぜ病欠で標準報酬月額が改定されない制度になっているかといいますと、健康保険が国民の生活の安定を目的としているからです。病気欠勤などによって標準報酬月額を安く変えてしまうと、傷病手当金などの保険給付の計算の際、被保険者に不利になってしまいます。

月額変更届の必要の有無の早見表を下に書いておきますのでご参考になさってください。


月額変更届の早見表

報酬 固定的賃金
非固定的賃金
3ヶ月の平均額(2等級以上の差)
月額変更届の必要

増額 減額

なお、3ヶ月に支払基礎日数20日未満の月が1ヶ月でもあれば月額変更届は不要となります。(平成18年7月1日より17日未満と読み替えてください)

[参考:賃金の分類]

固定的賃金
支給額・支給率が決まっているもの
基本給(月給、週給、日給)
家族手当、通勤手当、住宅手当、役付手当、勤務地手当など
非固定的賃金
稼動実績などによって支給されるもの
残業手当、能率給、日直手当、勤務手当、精勤手当など

平成17年12月14日現在の記事です。法改正にご注意の上ご利用ください。

 

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