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接待ゴルフ中の事故と労災 (2006年2月号より抜粋) | |
接待ゴルフに赴かせるときに無給だと労災補償を受けられない? |
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Q |
関連会社の重役をゴルフコンペにお誘いしたので、若手社員に対し「君もご一緒するように」と命じました。ところが、「当日は出張扱いで、賃金が出るのでしょうか。もし、無給だと、ゴルフ中にケガをしても、労災にならないので困ります」といわれて、対応に苦慮しました。賃金を払わないとダメでしょうか。 |
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A |
賃金を払っても労災認定は困難 営業上の必要から、関連会社社員をゴルフ等に誘い、接待するケースがあります。これが労働時間に該当するか否かは、ちょっと微妙な問題です。しかし、担当者同士が「今度、1ラウンド、ご一緒しませんか」などと誘い合って出かける場合は、普通、無給扱いになるでしょう。 ゴルフ狂ならともかく、本音としては、せっかくの休日に無給で接待に引きずり出されたくないという人も少なくありません。そこで、「労災扱いになるように、賃金を払って欲しい」と『変化球』を使って要求してきたわけでしょう。 この問題についてば、ゴルフそのものではありませんが、運動競技会出場に関する行政解釈(昭32・6・3基発第465号)が参考になります。長文の通達のエッセンスを抽出すれば、労災と認定されるためには次の2点を満たす必要があるといえるでしょう。
これに照らし、お尋ねのケースを検討してみましょう。会社公認の接待ゴルフなら、通常、旅費やプレー代、飲食費等は必要経費として補填されるはずです。しかし、それに加え、ご質問中の従業員がいうように、通常勤務扱いしないと(つまり、賃金を支払わないと)、条件をクリアできなくなります。 しかし、それだけでは必要十分ではなく、接待ゴルフが、「事業の運営に社会通念上必要と認められる」という条件を満たす必要があります。 サラリーマンの世界では、「宴会やゴルフなどは、関係先との円滑なお付き合いのためには不可欠」というのが常識です。しかし、それは労災認定の世界でいう「社会通念」とイコールではありません。 「事業を代表して対外的な運動会に出場」した場合でも、その「営業上の必要性」は厳しくチェックされるのですから、担当者同士の私的ゴルフなどは、まず業務として認められません。賃金を払いさえすれば、解決する問題ではないのです。 どうしてもゴルフ等への参初を求めたいなら、会社として万一の場合には、「労災に準じて」療養費の支給、休業補償等の措置を講じると約束することも考えられます。 法律を上回る形で、「(広い意味での)仕事中の事故」を補償するのは、もちろん企業の自由です。 |
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