病気で療養した社員の高年齢雇用継続給付 (2006年9月号より抜粋)  
     
 

病気で賃金ダウンして支給限度額を下回れば給付金を申請できる?

 

Q

当社では、嘱託社員に年俸制を適用しています。これまで高収入で雇用保険の高年齢雇用継続給付の対象外だった社員が、病気でしばらく療養せざるを得ない状態です。賃金が25%以上ダウンしたという理由で、雇用継続給付を申請できますか。

 

 
 

A

低下前の賃金を基準に判断。給付金の対象にならない。

嘱託社員の収入は、定年前に地べると大幅にダウンするのが一般的です。このため、雇用保険では、収入減を部分的に補填する高年齢雇用継続給付の仕組みを設けています。

具体的には、60歳到達時に離職したとみなして計算した賃金日額(退職前6月の賃金を180で除した額)と比べ、嘱託賃金が75%未満に低下した場合に支給対象となります。低下率が61%のとき、給付金の額は賃金に15%を乗じて算出します。低下率が61%以上75%未満のときは、賃金に「15%から一定の割合で逓減するように厚生労働省令(雇用保険法施行規則第101条の4)で定める率」を乗じます。ただし、嘱託として受け取る賃金額が支給限度額(340,733円、平成18年8月1日付改定後の金額)を超えるときは、対象になりません。

お尋ねの方は、年俸の月例払い分がこの限度額を超えているため、これまで給付金を受給できなかったわけですが、病気で休んだ分を欠勤控除すれば、実際に受け取る賃金額は限度額を下回ります。

この場合、支給限度額の範囲内で、賃金の低下率に応じた高年齢継続給付金の申請が可能なようにも思えます。しかし、賃金の低下率を計算する際、「支給対象月において非行、疾病、事業所の休業等により支払を受けることができなかった賃金がある場合には、その支払を受けたものとみなして算定する」(雇用保険法第61条第1項)と規定されています。

お尋ねのケースでは、この原則に従い、病欠で賃金が減ってもその分支払ったとみなされるので、給付金の対象になりません。

 

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