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出張中に脳疾患で倒れた場合は労災? (2006年10月号より抜粋) | |
出張のホテル内で脳疾患等で倒れた場合に労災として認定されますか? |
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Q |
業務指導のため他県に出張する従業員がいて、数週間、ホテル住まいを余儀なくされます。本人は、かなり血圧が高く、健康面の不安を訴えています。仮に、持病を抱える従業員がホテル内で倒れた場合、業務上の災害として認められるのでしょうか。 |
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労働時間・密度を検証して労災の判定が行われる 出張中は、包括的に事業主の支配下にあるので、業務中に限らず、外部で飲食中やホテルで就寝中に被災したケースでも、業務上の災害と認められます。私的行為で逸脱中を除き、出張の全行程について、「業務遂行性」が認められます。 しかし、事故でなく病気の場合には、話が簡単ではありません。脳・心疾患等で倒れたときは、たとえそれが事業場内でも、「基礎疾患がたまたま業務中に発症した」と判断される可能性があります。 持病を抱える人は24時間常に発作が起きる可能性があるので、1日のうち少なからぬ時間を過ごす会社のオフィス内で倒れる危険性を否定できません。 出張中も同様に解されます。しかし、病気で倒れると、必ず業務外として処理されるわけでもありません。脳・心疾患が「業務上の負荷」によるものと認められれば、いわゆる「過労死」等に該当し、労災になります。 過労死(正確には「脳血管疾患及び虚血性心疾患(負傷に起因するものを除く)」)については、詳細な認定基準(平13・12・12基発第1063号)が定められています。 業務が過重かどうか、一番重要な目安になるのは、もちろん労働時間です。まず、発症直前から前日までの業務、あるいは発症前おおむね1週間以内の業務が「特に過重であったか否か」に着目します。 次に、直前業務が繁忙でなくても、長期間にわたり疲労が蓄積するケースも少なくありません。 このため、「発症前1ヵ月間におおむね100時間ないし6ヵ月間にわたって、1ヵ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる」場合には、「業務と病気発症との関連性が強い」とみなされます。 労働時間以外にも、労働態様や労働密度等、付加約な要因も考慮されます。出張については、「出張中の業務内容、出張(特に時差のある海外出張)の頻度、交通手段、移動時間及び移動時間中の状況、宿泊の有無、宿泊施設の状況、出張中における睡眠を含む休憩・休息の状況、出張による疲労の回復状況等」がチェック項目となります。 持病(基礎疾患)があっても、「業務による明らかな過重負荷が加わることによって、病変がその自然経過を超えて著しく増悪し、発症する場合があり、そのような経過を経て発症した疾患は、業務が相対的に有力な原因であると判断する」という扱いになります。 お尋ねのケースも、これら判断基準に照らして、業務上の災害か否かを判断します。会社としては、過重負担が生じないよう十分に配慮する必要があります。
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