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判例 代替要請を受け派遣社員を解雇 (2006年12月号より抜粋) | |
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人材会社(派遣元)が責任を負う 休業手当の支払いが必要 派遣先企業は、受け入れた社員が気に入らないと、すぐに人員交換を要求します。派遣元(人材会社)は、顧客には逆らえないので、派遣社員にクビを宣告します。おとなしく引き下がる人もいるでしょうが、派遣社員が本気で争えばタダではすみません。本事件で、裁判所は残された派遣予定期間について、休業手当の支払を命じました。 S建設事件 大阪地方裁判所(平18・1・6判決) 買った商品が不良品なら、返品・交換を要求するのは当然のことです。派遣社員の場合も、能力不足という場合、すぐさま派遣先(ユーザー会社)はクレームをつけます。派遣元(人材会社)は、売り手の立場ですから、多少、無理な不満でも「ご無理ごもっとも」で受け入れる傾向があります。 ユーザー会社からすれば、後の処理は人材会社におまかせです。しかし、人材会社にとっては、頭の痛い問題です。 本事件も、お決まりのコースをたどりました。1級建築士等の資格を持つAさんは、派遣会社に登録し、約4カ月の予定でB社に派遣されました。しかし、B社はAさんの仕事振りが気に入らず、派遣元会社に人員交換を求めました。 顧客の要請を受け、代替要員を派遣した人材会社は、Aさんとの雇用契約を打ち切りました。これは業界では珍しくない話で、派遣社員が泣き寝入りして終わりというケースも少なくありません。 しかし、Aさんは、高資格者としてのプライドもあったのでしょうか、敢然と裁判に訴えて出ました。法律的には、どのような判断が下されたのでしょうか。 焦点は、Aさんの職務遂行に落ち度(債務不履行)があったかどうかです。債務の不完全履行が認められれば、ユーザー会社は契約解除等の権利を有します。しかし、債務不履行がなければ、たとえAさんの就労を拒否しても、人材会社は派遣料金の請求が可能です。 ユーザー会社としては、気軽に人員交換を要求しがちですが、実は「危ない橋を渡っている」のだともいえます。 実際、裁判所はB社のクレーム内容を検討し、「パソコン知識がない、横柄な態度を取った等を理由としているが、契約締結時にパソコン作業が明示的な条件とされていたことを認める証拠はなく、横柄な態度を取った事実も確認できない」と述べています。 しかし、人材会社は、「泣く子と地頭には勝てない」で、クレームを受け入れてしまいました。こうした場合、責任はどうなるのでしょうか。判決文では、「人材会社の判断により、派遣先との紛争を回避し、就労拒絶を受け入れたときは、Aさんの勤務状況から債務不履行事由が存在するといえる場合を除き、労基法第26条にいう『事業主の責めに帰すべき事由による休業』に該当する」と断じました。結論約には、人材会社に対し、予定の派遣契約の残期間に対応する休業手当の支払が命じられました。 ユーザー会社も、1つ間違えば、自分が損害を被ったかもしれない点に注意が必要です。
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