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判例 産休理由の賞与不支給は不可 (2007年2月号より抜粋) | |
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日数按分で減額は可能 遡及適用は認めず 育児休業期間の賞与支払いについては、Yゼミナール事件の最高裁判決(平15・12・4)で、一応、処理基準が固まったと考えられていますが、本判決はその差戻審です。高裁も一部の細かな点を除き、基本的には最高裁と同様の結論を下しました。確認の意味で、高裁が下した決定内容を精読してみましょう。 T学園事件 東京高等裁判所(平18・4・19判決) そう遠くない昔、日本では、女性は結婚したら、あるいは妊娠したら退職するのが当たり前と考えられていました。このため、産休・育休等取得者が出た場合、賞与の扱いをどうするか、明確に定めていない会社が少なくありませんでした。 本事件で、会社は女性社員の産休等取得増加に合わせ、「どろなわ」的に賞与規定の整備に着手しました。元々、賞与については90%条項(出勤率が90%未満の社員には賞与を一切払わない)を設けていましたが、平成4年には産休を欠勤日数に加え、平成6年には育児短時間勤務も欠勤日数に換算するという規定を設けました。 産休・育休等を取得すれば、すぐに90%条項に抵触し、賞与の支給が止まってしまいます。実際にこの条項の適用を受け、賞与を全額受けられなかった女性社員が、公序良俗に反すると主張して裁判を起こしました。 最高裁判所は、90%条項を設け、賞与を全額不支給とすることは、「法が認めた休業取得権の行使を事実上抑制する」効果を持つため、公序に反し無効であると断じました。しかし、同時に、」産休・育児短時間勤務による不就労期間に応じて減額することは可能という判断を示しています。 この問題について、行政側はどのように考えているかというと、育児介護休業法第28条に基づき平成14年に施行された「両立指針」のなかでは、育休取得等を理由として「減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと」を禁じています。ただし、「休業期問を超えて働かなかったものとして取り扱うこと」は不利益取扱いに該当するが、休業期間に応じて日割りで賃金カットすることは許されると解されています。 平成19年4月に改正均等法が施行されますが、その指針のなかでも、妊娠・出産等を理由として「減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと」を禁止事項としてあげています。こちらも、考え方は同じです。 ですから、最高裁と行政の判断は一致しているといってよいでしょう。高裁でも、「上告裁判所の判断が差戻審を拘束する(民事訴訟法第325条第5項)」ため、同様の結論を出しています。ただし、育児休業期間対応の賃金カット規定は本人の申請後に新設されたものであるから、「遡及適用は認められない」とクギを指しています。この点が、最高裁と異なります。 実務的には、産休・育休・短時間勤務すべてについて、ノーワーク・ノーペイの処理のみが許されると覚えておくべきです。
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