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変形労働時間制の時間外労働 (2007年3月号より抜粋) | |
所定労働が少ない1ヵ月単位変形制なら法定枠を超えない限り割増不要? |
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Q |
時間外労働を削減するため、1ヵ月変形労働時間制の導入を検討しています。法定枠一杯でなく、たとえば1カ月30日の月は所定労働時間を168時間(8時間×21日)というようにゆとりを持って勤務割を組むつもりです。この場合、法定枠の171.4時間までは時間外割増を払わなくてよいのでしょうか。 |
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日・週単位でもチェックが必要 1ヵ月単位変形労働時間制は、1カ月以内の期間について所定労働時間を1週平均40時間以内に設定すれば、特定の日に8時間を超え、あるいは特定の週に40時間を超えて働かせても、割増賃金を払わなくて良い制度です。勤務割は、変形期間が開始する前に決定しなければいけません。後から勤務割を崩し、特定していない日・週に法定労働時間を超えた場合には、割増賃金が必要になります。変形期間を最長の1ヵ月とした場合、法定労働時間の総枠は次の式で計算します。 月の暦日数×40時間÷7日 ですから、各月の暦日数によって法定枠は異なります。
1ヵ月変形制といっても、1日・1週の所定労働時間を変動させるタイプだけでなく、1日8時間を原則としつつ、1週の所定労働日を週ごとに決定するタイプも広く利用されています。8時間単位で勤務割を組めば、ご質問にあるように30日の月の所定労働時間は168時間が限度となります。 法定枠の171.42時間(端数を切り捨てる限り、小数点以下何桁まで使用するかは自由です)と比べると、3時間強のゆとりがあるので、その分、時間外労働をさせても、割増が不要と考える経営者が少なくありません。しかし、1カ月変形制では、次の3パターンの時間外労働が存在します。
ですから、3.の月の法定労働時間の総枠に収まっていても、時間外が発生しないという保証はありません。 お尋ねのケース(1日8時間固定、月168時間)で、1日9時間ずつ3日残業すれば、月の総実労働時間は171時間で総枠内ですが、1日8時間を超えた3時間(1時間×3日)は時間外となります(1.のケース)。週4日勤務の週に1日3時間休日労働させた場合に、は、1、2、3のすべてに該当しないので、割増賃金は不要です。
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