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割増賃金の定額払い制 (2007年9月号より抜粋) | |
営業社員を対象に割増賃金を固定給として払うのは法達反ですか? |
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Q |
当社では、営業社員を対象に、時間外手当の定額払制を採っています。しかし、最近、同業他社が「定額払い制を是正するように」と労働基準監督署から指導を受けたという話を聞きました。こうした処理方法を採るのは、違法なのでしょうか。 |
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法所定の計算方法による割増賃金を下回らない限りは違反とならない 時間外労働が発生した場合、割増賃金の算定単価に時間外労働時間数を乗じ、その1.25倍の割増手当を払うのが原則です。しかし、月の時間外労働実績にかかわらず、定額の手当を支払う会社も存在します。「残業時間と成果は必ずしも正比例しない。営業成績を上げた社員には、別に業績給で報いればよい」という割り切った考え方が、その背景にあるようです。 その設計思想はともかくとして、こうした扱いが法律的に可能か否か、別途、検討する必要があります。行政解釈をみると、「実際に支払った金額が法(労基法第37条)所定の計算方法による割増賃金を下回らない限りは違反とならない」(昭24・1・28基収第3947号)と述べています。 判例(関西ソニー販売事件、大阪地決昭63.10.26)でも、「労基法所定の額以上の割増賃金の支払いがなされる限りその趣旨は満たされ、法所定の計算方法を用いることまでは要しない。 しかし、現実の労働時問によって計算した割増賃金額が定額払いの手当額を上回った場合には、その差額を請求することができる」という判断を示しています。ですから、基本的には、時間外に相当する手当額を明確にし、マイナスの差額が生じたときは清算するという規定を置く限り、定額払制は法律違反ではありません。 同業他社が指導を受けたというお話ですが、可能性は2種類あります。第1は、定額払い制といっても、時間外相当の手当である点を明確にしていないケースです。 業績給等の名目で定額を支払っているのですが、そのうちいくらが時間外相当か明らかではなく、かつ、業績給そのものが営業成績で変動するような場合には、違法性を免れません。判例(K社事件、東京地判平17・9・30)でも、「営業報奨金を払っているので、割増は不要」という会社主張が退けられています。 第2は、形式上は定額払制の要件を満たしていても、運用実態に問題があるケースです。行政解釈(平13・4・6基発第339号)では、「時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因になっていないか確認するとともに、阻害要因となっている場合には改善措置を講じること一を求めています。 貴社でも、このどちらかのケースに当てはまるか否か、チェックが必要です。今のやり方が本当に従業員のやる気アップにつながっているか再確認するとともに、場合によっては「事業場外労働みなし制」への乾換も検討すべきでしょう。
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